料金不足で新聞社に届いたラブレター、56年ぶりに差出人のもとへ戻る。

2009/12/25 15:58 Written by Narinari.com編集部

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米国のある新聞社に、先日、同社の封筒に入れられた料金不足の郵便物が一通届いた。封筒には3セント(約3円)の切手と「1953年11月20日」の消印。時間の経過を感じさせないきれいな封筒が気になり、受け取った編集者が中を開けてみると、それは56年前に書かれたラブレターだった――。

テネシー州ナッシュビルで発行されている地方紙テネシアンで働く、マーク・シルヴァーマンさんの手元に手紙が届いたのは12月中旬のこと。宛先にはアラバマ州バーミンガムの「ミス・ルイーズ・スノーデン」、消印の日付は50年以上前の「1953年11月20日」と押されていた。封筒を開けてみると、そこには日常の生活や、フィアンセへの気持ちがつづられた手紙。差出人には「グラントランド・ライス」という男性の名が書かれていた。

そこでまず、宛先の「ミス・ルイーズ・スノーデン」の名前をインターネットで調べてみると、バーミンガムの教会が昨年出した会報に名前を発見。教会に連絡すると、女性の夫の名は「グラントランド」で、今も健在であることがわかった。

さらに調べを進めると、「グラントランド・ライス」はかつてテネシアン紙で働き、隣の州に住むルイーズさんと遠距離恋愛をしていたらしい。1954年春に2人は結婚したが、その後1年ほどは、遠距離のままテネシアン紙で働いていたため、同社の封筒を使って頻繁に手紙を送っていた。今回の手紙が同社の封筒に入っていたのも、同社に料金不足で戻って来たのも、そうした事情からだ。 

しかし56年前の手紙が、なぜ今になって戻ってきたのだろうか。シルヴァーマンさんが米国郵政公社に尋ねると、「封筒の印から、ルイーズさんのポストに届かず、バーミンガムの局内にずっとあったようだ」との回答。それが何らかの理由で今になって発見されたが、3セントの切手では現在の郵便料金に足りないことから、返送という手段が取られたようだ。

シルヴァーマンさんは、教会の情報をたよりにグラントランドさんの居場所を突き止め連絡。ルイーズさんは残念ながら2008年3月に79歳で他界していたが、56年の歳月を経て、2人の愛の証はようやく届くべきところに向かう運びだ。

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