亡き母の携帯電話が繋いだ奇跡、出るはずのない電話に出た女性と結婚。

2009/12/21 15:08 Written by Narinari.com編集部

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愛する家族や恋人、友人を亡くし、ぽっかりと空いてしまった心の穴を、人はどのように癒すのだろう。写真を眺めたり、生前の思い出に浸ったり、仕事に打ち込んだりと、対処法は人それぞれだが、母親を亡くした中国のある男性は、「母親の携帯電話に電話をかけ続ける」という方法で心の穴を埋めていた。周囲から見れば、少し奇異にも映るこの行動。しかし、その先に待ち受けていたのは、幸せな“奇跡”だった。

中国紙三湘都市報によると、湖南省岳陽平江県で暮らす28歳の羅さんは、大学入試に失敗した後、お金を稼ぐために広東省珠海市に働きに出た。故郷と離れて暮らすことになった羅さんは、実家の両親のこと――特に胆嚢炎を患っていた母親のことを常に気にかけており、いつでも連絡が取れるようにと、携帯電話を購入してあげたそうだ。

羅さんはいつも電話をかけて母親を励ましてきたが、昨年4月、腫瘍の悪性転化を招き入院。それからわずか5か月後には、60歳という若さで帰らぬ人となってしまった。母親を亡くした羅さんは悲しみに暮れ、その顔や声がいつまで経っても忘れられず、気が付くと生前母親が使用していた携帯電話の番号に電話をかけることが習慣になっていたという。羅さんなりに母親を懐かしむため、そして悲しさや寂しさを紛らわすための行為だったのだろう。

もちろん、電話をかけても「携帯電話の電源を切っております」との自動アナウンスが流れる。しばらく月日が経つと、そのアナウンスは「あなたがおかけになった携帯電話はすでに使われておりません」に変わり、最終的には「あなたがおかけになった電話番号は現在使われておりません」になった。それでも、羅さんは電話をかける習慣が止められず、3か月以上も同じように電話をかけ続けたという。

しかし、昨年12月12日の夜、そんな羅さんの習慣に“変化”が訪れる。いつもなら自動アナウンスが流れるはずなのに、その日は母親が愛していた呼び出し音「月亮之上」(男女2人組のボーカルユニット「鳳凰伝奇」の代表曲)が突然流れ始めた。羅さんはそのとき、驚いて手が震えたという。そして、すぐに電話の向こうから「こんにちは。どちら様ですか?」と、礼儀正しい女性の声が聞こえてきた。

羅さんはおどおどしながらも自己紹介。どもりながら自己紹介する羅さんに、相手の女性は思わず笑い出してしまったそうだ。女性の笑い声を聞いて緊張がほぐれたのか、なぜこの電話番号に電話をかけたのか、経緯を詳しく説明。その気持ちを汲み取ったのか、相手の女性は李という自分の名前を教えてくれた。

それ以降、2人は連絡を取り合う仲になった。と言うのも、2人には似ている点があったためだ。羅さんと李さんは同い年で家も数キロメートルしか離れていなかった。加えて李さんも昨年2月に父親を病気で亡くしており、悲しみを引きずって生きていたそう。親を亡くした2人の人生は偶然一致し、互いに理解し合える大切な存在となっていった。

そんな関係が数か月続いた今年7月に、二人は結婚。李さんは現在妊娠中で、生まれてくる赤ちゃんを心待ちにしている。羅さんは「私たちはとても幸せです。天国の母親に感謝します。母親の携帯電話が私たちの赤い糸を結びつけてくれたんです」(中国紙三湘都市報より)と、2人を引き合わせてくれた母親に感謝の気持ちでいっぱいだという。

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