1年365日ずっと同じデザインの服を着る女性、その試みの狙いとは。

2009/12/12 13:32 Written by Narinari.com編集部

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女性にとって服はおしゃれの基本。友人とのお出かけ、恋人とのデート、仕事、パーティなど、いろいろな状況に対応できるように服を揃えている人も多いだろう。しかし、米国には1年間の期間限定ながら、全く同じデザインの服にアレンジを加えながら、365日着続けるという、その名も「ユニフォーム・プロジェクト」を実行している女性がいる。プロジェクトの公式サイトには、その日の服装が毎日アップされ、1日に40万人の訪問者を集めるほどの人気。実はこの試み、彼女の母国インドの子どもたちを学校に通わせようと、寄付を募るために行われているものだ。

プロジェクトの主役は、ニューヨークの広告会社に勤めているインド出身の女性、Sheena Matheikenさん。Matheikenさんは今年5月から、友人でデザイナーのエリーザ・スターバックスさんが作ったワンピースを毎日着用している。ワンピースは夏でも快適に過ごせるように通気性の良い綿を使用。上から下までボタンで留める作りで、前後どちらでも着られるなど、着こなしの自由度が高い服だ。プロジェクトでは毎日着るために同じワンピースを7着用意し、ほかの服を重ねたり、アクセサリーを身に付けたりすることで、毎日変化をつけている。

この発想は、インドで過ごしたMatheikenさんの学生時代が原点。学校指定の制服が決められている中で、それぞれが個性を出すために、髪型に気を遣ったり、アクセサリーを付けてみたりと、いろいろな工夫をしていたという。その考えに立ち返り、「着続けられる服」という課題に取り組もうと決め、今回のプロジェクトに繋がった。

もちろんMatheikenさんは、ただそれを実行するためだけにプロジェクトを始めたわけではない。母国インドのスラム街で暮らす、学校に通えない子どもたちのために寄付を募るのがプロジェクトの目的だ。公式サイトの中で公開されている動画では、インドで貧困に苦しむ子どもたちの置かれている状況を語り、「750万人の子どもたちが学校に通えていない」と説明している。1人の子どもにかかる年間の学費は約360ドル(約3万2,000円)で、協力している財団を通じて、1人でも多くの子どもを学校に通わせる計画だ。

5月1日にこのプロジェクトがスタートしてから、欧米メディアにたびたび取り上げられたこともあり、注目度は上々。8月に記事を掲載した米紙ニューヨーク・デイリーニュースによると、「1日40万人が訪れる」そうだ。しかし、一方で「寄付は伸び悩む」とも。ちなみに、プロジェクト公式サイトには現在までの寄付総額が公開されており、12月11日時点では約4万ドル(約358万円)となっている。

Matheikenさんは毎朝、その日の着こなしを決めるのに30分を費やしているが、220日を超えた今でも、アイデアは尽きていない。来年5月1日のプロジェクト終了以降も「たぶんまだこの服に取りつかれている」と、すっかりこの服がお気に入りのようだ。

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