シャープ創業者考案の最初期型シャープペンシル「早川式繰出鉛筆」複製販売。

2009/12/01 19:10 Written by Narinari.com編集部

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数ある文具の中でも、日常的に使われることが多いシャープペンシル。日本における歴史は19世紀に舶来品として輸入されたところまでさかのぼるが、金属製で耐久性に優れた日本初の実用的なシャープペンシル(繰出鉛筆)を考案したのは、総合家電メーカーのシャープ創業者・早川徳次氏であることはよく知られている。その早川氏が考案した「早川式繰出鉛筆」の複製品は、これまで幾度かプラチナ萬年筆から発売されているが、今年も数量限定で発売されることになった。12月15日から発売で、価格は10,500円(税込み)。 

「早川式繰出鉛筆」は1915年(大正4年)に早川氏が発明したもの。早川氏は幼少の頃から金属細工に長け、成長してからは職人と呼ばれる域にまで達していた。その技術を駆使し、軸柄に細やかなラインを彫り込んだ模様を施すなど、外装の細部までこだわった「早川式繰出鉛筆」を15本だけ製作。販売される複製品は、そのうちの1本を現代に甦らせたものだ。

複製品の素材は真鍮に銀メッキ仕上げ。芯の太さは0.5ミリで、新しい芯繰出し機構を採用した。今回の販売では、シャープペンシルに加え、同じデザイン、材質、仕様のボールペンも用意。合わせて1万本の販売となる。

シャープの社史によると、「早川式繰出鉛筆」登場以前の繰出鉛筆はセルロイド製が主流で、太くて見かけが悪い上に壊れやすく、実用にはほど遠いものだった。そこで早川氏は美しいニッケル製の「早川式繰出鉛筆」を製作(※改良を重ねていくうちに「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」「シャープペンシル」と改名)。当初は「軸が金属なので冬には冷たく感じる」「和服には向かない」と言われ販売面で苦戦したものの、貿易商社を介して欧米に渡ったところ大人気となり、それがきっかけで国内の問屋筋からも引き合いが強くなったという。

なお、「早川式繰出鉛筆」は「内部の金具を真鍮の一枚板にした上、それを3段に絞って先を細くし、そこに溝を螺旋に彫って回転させる繰出装置」(シャープ社史より)の独創性が認められ特許を取得。また、1926年(大正15年)には米国でも特許を取得している。  

早川氏は早川兄弟商会金属文具製作所を設立し、シャープペンシル事業も順調に売上げを伸ばしたが、1923年の関東大震災で被災。失った工場の再興は叶わず、大阪の地で従業員3人とともに再出発し、以降、ラジオのヒットを足がかりに現在のシャープの礎を築いた。  

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