池に数千人が飛び込む伝統行事、水のアンモニア濃度急増は排尿が原因?

2009/11/24 13:33 Written by Narinari.com編集部

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米国の4大スポーツに数えられるアメリカンフットボールは、プロリーグ(NFL)と同様に米大学や高校でも高い人気を誇り、盛んに行われているスポーツのひとつ。地域ごとのカンファレンスで対抗戦が行われ、日本で言うところの“早慶戦”のような名門校同士によるライバル対決も存在している。そんなアメフトの名門校でもあるオハイオ州立大学は、ミシガン大学とライバルの間柄。毎年この時期に行われる試合の前には大いに盛り上がり、数千人の学生が敷地内の池に一晩入るという伝統行事が行われるのだが、この行事の際に、ちょっとした調査が行われた。

オハイオ州立大学は、1870年に設立された歴史ある大学。スポーツが盛んな大学としても知られ、中でもアメリカンフットボールのチームは全米大学チャンピオンに7回輝き、プロ選手も数多く輩出している強豪だ。

ライバルのミシガン大学との試合前に行われる伝統行事は、大学にある「ミラーレイク」と呼ばれる池に学生が一晩入るというもの。1950年代に黄金時代を築き、1987年に亡くなったウッディ・ヘイズ元監督を偲ぶために始まった行事で、試合が行われる週の木曜夜11時から始まり、朝4時まで全員が池の中で騒ぐそうだ。参加する学生の数は毎年数千人と、かなり規模が大きい。

この行事に際して、オハイオ州立大学で地球科学を研究するスティーヴ・ゴールドスミスさんが行った調査は「数千人が池に入ると、池の水にどのような影響を与えるのか」。昨年の行事前、行事中、行事後の水をそれぞれ採取して、その状態を調べた。

すると、一晩の間に池の水温が3度も上昇していたことが判明。この結果をゴールドスミスさんは「多くの人間の体温が、冷たい池の水温を押し上げた」(米地方紙コロンバス・ディスパッチより)と分析している。

そしてもう一つ。調査によって明らかになったのは、アンモニア濃度が急増していたことだ。当初、水に含まれていたアンモニアは5.2ppmだったのが、ピーク時の夜中1時には42ppmと8倍の数値を示した。この点について、ゴールドスミスさんはコメントをしていないものの、コロンバス・ディスパッチ紙は「間違いなく(学生の)排尿を意味する」と断定している。

また、ゴールドスミスさんを指導するアン・ケアリー准教授は「彼は飛び込むのを止めたくないとは言ってたが、イベント後にシャワーを浴びるよう勧めていた。『楽しんで欲しいけど、決して口を開けるな』ともね」と、調査で分かった池の“危険性”を代弁。ゴールドスミスさんは今年もこの研究を行い、30分ごとに採取した水からバクテリアや微生物の調査を行うそうだ。

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