古城で開催される“もう一つのサロン・デュ・ショコラ”に行ってみた。

2009/11/17 23:15 Written by Narinari.com編集部

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フランス・パリで毎年秋に開催されているチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ(Salon du Chocolat)」は、日本でも2003年から同名のイベントが開催されていることもあり、スイーツ好きの間ではすっかりおなじみのイベント。しかしフランスには、パリで開催されるそれとは別に、“もう一つのサロン・デュ・ショコラ”があることをご存知だろうか。歴史ある古城ヴォー・ル・ヴィコント城で開催される趣深い“もう一つのサロン・デュ・ショコラ”に、ナリナリドットコムのフランス特派員が潜入してみた。 

◎会場のヴォー・ル・ヴィコント城とは

“もう一つのサロン・デュ・ショコラ”のレポートをお届けする前に、会場のヴォー・ル・ヴィコント城について簡単に説明しておこう。

ヴォー・ル・ヴィコント城は、17世紀にルイ14世の財政長官を務めたニコラ・フーケが大金を投じて築いた豪華絢爛な城。当時の建築、美術、造園分野における最高峰の職人の手によって作られ、調度品も贅の限りを尽くしたものだった。しかし、城の落成を祝うパーティから3週間後に、フーケはルイ14世の怒りを買い失脚。横領の罪で逮捕され、65歳で生涯を閉じるまで獄中で過ごすことになる(※えん罪だったとも言われている)。

主を失ったヴォー・ル・ヴィコント城は、その後、持ち主が転々と変わり、19世紀後半には廃墟のような状態だった。ちょうどその頃、砂糖の精製業で財産を築いたアルフレッド・ソミエに買われ、再び豪華な城として復活。以降は現在に至るまでソミエの子孫によって維持・管理が行われている。

◎会場の様子は?

それでは、会場の様子をお届けしよう。全体的にパリのサロン・デュ・ショコラよりもずっとコンパクトな催しだが、ジャック・ベランジェ氏やフレデリック・カッセル氏、アルノー・ラエール氏といったフランスを代表する職人やブランド、日本でもおなじみのサダハル・アオキなども出展しており、チョコレートは豊富に集結している。

また、数々のチョコレートオブジェの展示や職人による実演などもサロン・デュ・ショコラならではの光景。この日はジャン=シャルル・ロシュー氏による実演が行われていた。

前述の面々を含め、M.O.F(フランス最優秀職人)を持つ重鎮も数多く参加しているが、気軽に会話や写真撮影に応じてくれるなど、垣根のない、フラットなコミュニケーションを図ることができるのは嬉しいポイント。著名ブランドのチョコレートをまとめて購入できる楽しみはもちろんあるが、加えて、こうした点もチョコレート好きにはたまらない魅力と言えそうだ。

ヴォー・ル・ヴィコント城でのサロン・デュ・ショコラは、今年でまだ2年目ということもあり、会場のスタッフが走り回っているなど、バタバタとしている姿も見られた。運営の面ではまだまだ課題が多そうではあったが、一方で重鎮と呼ばれるような職人がきっちり集まっていることなどからも、力を入れていることはうかがえる。

そしてなにより城の持つ荘厳な雰囲気や、造園家ル・ノートルの最高傑作とも呼ばれる庭園に触れながら、のんびりと楽しむチョコレートは格別。あいにく訪れた日は曇天だったが、晴天の日に訪れていたら、さらなる至福の時が待ち受けていたに違いない。パリのサロン・デュ・ショコラとはまた違うベクトルで、幸せな気分にさせてくれるイベントだった。



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