歯に対する不安が大きい人は状態が悪化する傾向、歯と性格の関連調査。

2009/11/16 14:51 Written by Narinari.com編集部

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「食べる」「話す」といった人間の基本的な行動になくてはならない歯。普段の生活の中では歯磨きのとき以外、それほど意識する機会はないが、虫歯や抜歯などで強い痛みに襲われたときに、その存在感の大きさに気付かされる人も多いのではないだろうか。定期検診を怠り、ちょっとした痛みを騙し騙ししているうちに酷くなって後悔することも多いが、少しでも異変を感じたら速やかに歯医者に行っておきたいところだ。そんな歯について、ニュージーランドの大学研究者らが若者1,000人超を対象に「歯に対する不安度」を調べた。すると、虫歯になりやすい性格の傾向が浮かび上がってきたという。 

この研究は、ニュージーランドのオタゴ大学の研究者グループが15歳から32歳の1,037人を対象に調査し、専門誌「Community Dentistry and Oral Epidemiology」で発表されたもの。科学情報サイト「インサイエンシズ」によると、研究ではまず「歯に対して不安を感じているか」を質問。そして「不安を感じる」グループと「不安を感じない」グループの2つに分けた上で、それぞれそう思い始めたのが「小さいころから」「10代から」「大人になってから」の3つに小分けにし、計6つのグループを構成した。そして、各グループの歯の状態と性格との関連性を調べている。

まず研究者らが注目したのは、4分の1の人が当てはまった「不安を感じるグループ」の歯の状態。小さいころから不安を感じていた人の多くは、5歳前後で虫歯になって歯医者への通院経験があった。同様に10代からの人は15歳前後で虫歯に、大人になってからの人は26歳から32歳の間で虫歯になった人が多いという。オタゴ大学口腔科学部のマレイ・トムソン教授は、このグループに属する人の特徴に「高所やクモなど、ほかにも何かしら不安を持ち、神経質」(英情報サイト・デンティストリーより)な傾向があると指摘している。

研究の発表では、「こうした不安を持つ人は、受診や治療の見通しを恐がり、なかなか歯医者に訪れない」という。その結果、「このグループの人は歯の状態が悪くなるまで歯科に行かず、どんどん心配が募る悪循環に陥っている」と、トムソン教授は解説している。

一方で、「不安を感じていないグループ」は「たくましい個性があって物事に対処しやすい傾向にあり、ほぼ大多数の人に当てはまる」。ただこのグループの中では、「大人になってから不安を感じなくなった」という人が13人と、非常に少ないケースであることを発見。研究者らは「このカテゴリーに当てはまる人を、さらに研究したい」と、課題としてあげた。トムソン教授は、「研究結果を市民や歯科医に理解してもらい、虫歯を悪化させないようにそれぞれ注意してほしい」と話している。

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