「サッチャーが死んだ」実は同名の猫、大臣メッセージでカナダ政府混乱。

2009/11/14 11:33 Written by Narinari.com編集部

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英国史上初の女性首相として、1990年まで11年もの長期政権を率いたマーガレット・サッチャー氏。その政治手法は保守・強硬的と言われ、自らの信念を内政、外交ともに強力に推し進める姿に、「鉄の女」のニックネームが付いたことでも知られる世界的に著名な政治家の一人だ。しかし昨年、娘のキャロルさんが2001年から認知症を患っていると明かすなど、最近ではサッチャー氏の健康不安も伝えられている。そうした中、カナダでは、運輸大臣が送ったテキストメッセージで、「サッチャーが亡くなった」という“誤報”が流れ、政府が混乱するという出来事があった。実は、メッセージにあった「サッチャー」は運輸大臣が飼っていた猫の名前。対応に追われた関係者はカンカンだという。

11月10日、政治家や関係者ら1,700人を集めた軍の式典がトロントで開かれた。軍関係者の家族も招かれ、和やかな雰囲気で行われていた最中、一部の人の携帯電話にジョン・ベアード運輸大臣からテキストメッセージが送られてきたそうだ。その内容は「サッチャーが亡くなった」というもの。メッセージを見た誰もが、英国のサッチャー氏が亡くなったと思いこみ、この話題は瞬く間に参加者の間に広がっていった。

カナダ紙ナショナル・ポストによると、式典にはスティーブン・ハーパー首相など、有力政治家も参加。同紙はこのメッセージが「サッチャー氏を尊敬する、多くのカナダ保守派の心に突き刺さった」と、会場内での衝撃の大きさを表現している。話は人から人へと伝わり、政治家らは慌てて相談を始めたという。また、英紙ガーディアンによると、話を耳にしたハーパー首相も側近のディミトリ・ソウダ氏に追悼文書を作成するよう指示。ソウダ氏は別の部屋へ移動して、準備に追われた。

ところが、ソウダ氏が確認のためにバッキンガム宮殿と英国首相官邸に連絡すると、思いもよらない返事が返ってきた。サッチャー氏は生きており、「数日前にはウエストミンスター寺院で開かれたイベントにも出席したばかり」という。これにはソウダ氏だけでなく、「英当局も完全に困惑」(英紙デイリー・メールより)。こうして会場を騒がせたテキストメッセージは“誤報”と確認されたが、ベアード運輸大臣は嘘をついたわけではなかった。

実は、ベアード運輸大臣が指した「サッチャー」は、自身が飼っていた16歳の猫の名前。「鉄の女を慕い名付けた」(ナショナル・ポスト紙より)ベアード運輸大臣は、この日最愛の猫の死に直面し、一部の近い人々へテキストメッセージを送ったそうだ。それが、多くの政治家が集まる軍の式典に出席した人の中にももたらされ、アッという間に「サッチャー氏が亡くなった」という話で広まったらしい。

1人の政府閣僚のテキストメッセージから、思わぬ混乱が引き起こされたカナダ政府。危うく大失態となるところだったが、対応に追われたばかりか、直接英国に確認して恥をかいたソウダ氏は「もし猫が死んでなかったなら、今頃私が手をかけていた」(ガーディアン紙より)とカンカンだ。

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