男性が作り続けた世界最大のゴムボール、珍品収集の博物館へ売却。

2009/11/02 11:49 Written by Narinari.com編集部

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普段は物を束ねたり、ふたを抑えるためなどに使われる輪ゴム。ほかの使い道といえば、せいぜい指鉄砲の弾となるか、女優の松居一代が編み出した掃除道具「松居棒」で巻かれたりするくらいなものだろうか。しかし、ただの輪ゴムも数が集まればギネス記録に認定され、立派な“お宝”になるようだ。米フロリダ州に住む28歳の男性は、2004年から輪ゴムを繋ぎ続け、高さ2メートル、円周7.6メートルもの巨大なゴムボールを製作。このボールが、このほど珍品を集めるオーランドの博物館へ売却されたという。

この世界最大のゴムボールを作ったのは、フロリダ州ローダーヒルに住むジョエル・ウォールさん。米地方紙マイアミ・ニュータイムズによると、彼は2004年4月、兄弟とご飯を食べているときに当時放送されていたテレビ番組「Ripley's Believe It or Not!」を見た。この番組は、世界の奇妙な物や出来事を紹介する番組で、彼がこのとき見たのが「1トンのゴムバンドボールを飛行機から落とすと、跳ね返るのか」という試み。モハーベ砂漠で行った実験では、「ゴムが弾ける」結果になったそうだが、ウォールさんは放送を見た後「自分も同じボールが作れるのではないか」と思い、製作に着手したそうだ。

ウォールさんはボールを、マクドナルドの商品から取ったという「ナゲット」と命名。当初からギネス・ワールド・レコーズへの公認を視野に入れ、従来の記録が約1,400キロと分かると、それを破ることを目標に製作を始める。輪ゴムは自分で用意したほか、仕事場からもくすね、せっせとボール作りに励むと、わずか1か月後には約130キロもの大きさに。作業は順調だったが、進むにしたがって段々と出費もかさむようになったことから、ペンシルバニア州の輪ゴムメーカーにコンタクトを取って2,000ドル(約18万円)分以上の輪ゴムを援助してもらったそうだ。

ところが2006年、オレゴン州の男性が先に新記録を樹立。そのゴムボールの重さは約2,000キロだった。しかも、ボールは5万ドル(約450万円)で売却され、製作者は全米を旅行して周ったそうだ。これを悔しがったウォールさん、2007年には大きなボールにも巻けるゴムバンドを提供してくれるスポンサーも獲得し、さらなる巨大化に着手。「ナゲットでは弱い」と、ボールの名前も「メガトン」に変更し、日々着々と作業を進める。そして、2008年8月にギネス・ワールド・レコーズがウォールさんのゴムボールを測定し、約3,700キロの重さと確認。ウォールさんのボールは「世界最大のゴムバンドボール」と認定され、晴れて世界記録保持者となった。

それからも作業は止まらず、ゴムボールは約4,200キロもの重さに。それまでに使われた輪ゴムは72万個、高さにすれば2メートルにも及ぶという。地元でもゴムボールの評判は広がり、「巨大なゴムボールは、失業者の多い街で常に笑いを誘った『静かなコメディアン』だった」(米紙ニューヨーク・タイムズ)そうだ。そんなゴムボールに目を付けたのがオーランドにある博物館。取引金額は伏せられているが、ウォールさんはゴムボールを博物館に売却し、そのお金でスタントマン養成学校に通うつもりだという。

10月29日、ウォールさんの自宅からトラックで博物館に運ばれたゴムボール。ウォールさんのほか、近所の人も20人あまりが見送りに駆けつけたそうだ。臭いだけはきつかったそうだが、近所の人も「彼の傑作だ」(米放送局NBCマイアミより)と別れを惜しんでいる。一見無意味にも思えるゴムボール作り。しかし頂点を目指したウォールさんの真っ直ぐな情熱と根気が、思いがけない成功をもたらしたようだ。

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