中国でも「留学=成功」の時代ではなくなった? あるケースに失望の声も。

2009/11/01 20:40 Written by Narinari.com編集部

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世界100か国以上に広がっているとされる中国人の留学生たち。留学先のほとんどは日本や米国、欧州といったところが中心だが、大学生の国内での就職難、富裕層の経済力を背景に、中国人留学生の数は今後ますます拡大していきそうだ。そうした中、ある欧州帰りの中国人留学生の現状がニュースで伝えられ、ちょっとした話題となっている。留学生の増加に伴い「留学=将来的な成功」と安易に考えられる時代は、中国でも終焉を迎えつつあるようだ。

長江日報などの報道をきっかけに話題となっているのは、中国・湖北省武漢のある女子学生。フィンランドにある大学で学んだ彼女は、最近、故郷の武漢に戻ってきた。両親の話では、修士課程を終えるまでは帰国も就職もして欲しくなかったそうだが、金融危機の影響が色濃く残る欧州での就職活動は難しいと判断。仕方なく中国に戻って就職活動をすることにしたという。

しかし、欧州留学経験を持つ彼女でも、地方都市の武漢で希望に沿った就職先を探すことは難しいそう。彼女の希望給与は、当初想定していた額を下回る月給1,500元(約2万円)で、北京や上海、広州といった経済都市の大卒初任給が2,500元(約3万円)以上であることを考えると、かなり苦しい就職活動をしている状況が理解できる。

ちなみに、両親は彼女の留学に40万元(約500万円)以上のお金を投じてきたそう。もちろん、武漢は沿岸各地の大都市に比べると物価が安いという事情はあるが、“海外留学”の経験があることで、もう少し良い給与がもらえると期待していたとしても不思議ではなく、現実の給与水準に落胆している様子もうかがえる。

このケースが伝えられると、中国国内からは驚きや失望など、さまざまな声が挙がった。しかし、留学帰りの中国人が、中国内の外資系企業に幹部社員として採用されることがいまだに多く見られるのもまた事実。当然そのような学生は留学経験以外にも、知識や技術などが認められた上での採用に違いないが、かつての中国では「留学すれば成功できる」と思われてきただけに、こうしたケースが報道によって広く伝えられたことに衝撃を受ける人も少なくないようだ。

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