「世界一変なスポーツ」米国のアンヴィル・シューティングってなんだ?

2009/10/27 13:37 Written by Narinari.com編集部

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日本でスポーツと言えば、身体能力を使った運動競技全般を思い浮かべるのが一般的。サッカーや柔道のように激しい動きの種目から、射撃のように研ぎ澄まされた集中力を必要とするものまで、実に多彩なスポーツが親しまれている。しかし、世界には特定地域でのみ盛んな競技もあり、まだ我々がよく理解していないスポーツ、そして特に身体能力を必要としない、日本人の感覚からするとスポーツと呼べるのか不思議に感じる競技も数多い。そうしたスポーツのひとつとされる、アンヴィル・シューティングなる競技をご存知だろうか。英紙デイリー・テレグラフが「世界一変なスポーツ」と呼ぶこの競技、米国の開拓時代から続く伝統競技なのだという。

現在、YouTubeでは、アンヴィル・シューティングの世界チャンピオンであるゲイ・ウィルキンソンさんが競技の説明をしている動画「How to Shoot an Anvil 200 Feet in the Air」が公開されている。この動画によると、アンヴィル・シューティングは、鉄工所などで金属加工の作業台に使われる1個45キロほどのアンヴィル(鉄床/かなとこ)を道具として使用。大量の火薬を詰め込み、導火線に着火して爆発させ、空高く舞い上がったアンヴィルの高さを競う競技らしい。

ウィルキンソンさんはこの競技について、「米国にやってきた開拓移民が、インディアンからの攻撃を追い払うために、大砲に似せて考案した」(米情報紙リバーフロント・タイムズより)と説明している。また、南北戦争の際に南部側の武器製造能力を無くそうと北部側が、アンヴィルに火薬を詰めて吹き飛ばしたという説もあるという。いずれにせよこの競技の歴史は古い。

しかし、今からさかのぼること約10年前、米国で最大の会員数を持つ鉄工協会がアンヴィル・シューティングの存在を知り、安全上の懸念と「競技でのアンヴィルの扱いは、本来の使い方ではない」(米情報紙リバーフロント・タイムズより)との理由から、この競技を認めないと宣言。どうやら爆発によって高く舞い上がったアンヴィルが人や自動車の近くに落下する危険性を同協会会長が知り、宣言に至ったそうだ。この宣言を受け、現在はアンヴィルの競技目的での販売も禁止されている。

そのため、アンヴィル・シューティングの競技人口は減り、今では米国の中でもごくわずかな地域でしか行われてない。ただ、独立記念日やクリスマスなどの祝日やイベントの際に披露されるなど、少ないながらも、競技者の情熱は熱いそうだ。

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