強盗に銃を向けられた女性が涙の説得、心揺れた犯人と一緒に祈りを捧げる。

2009/10/25 17:48 Written by Narinari.com編集部

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先日、米国のある消費者金融の会社に若い男の強盗が押し入り、銃を女性店員に向けて金を出すよう脅す事件があった。強盗よりかなり年上の女性は、銃にひるまず男を説得。泣きながら神の教えを説く女性に男も心を開き、困難な生活を吐露すると、2人で抱き合いながら祈りを捧げたという。男は女性店員を傷つけずに店を出たあと、数時間経ってから出頭。2人が祈りを捧げる様子は防犯カメラにも捉えられ、女性の行動を警察も称賛している。

米インディアナポリスの消費者金融の店に、強盗が押し入ったのは10月19日のこと。公開されている防犯カメラの映像には、フードを被りながらも、堂々と顔をさらけ出した若い黒人男性の姿が記録されている。男は窓口にいた43歳の女性店員に銃を向け近づくと、そのままカウンターの中に入り、女性にレジを開けるよう命令。強盗事件に巻き込まれたと認識した女性は、恐怖から泣き始めたが、まだ若い犯人に向かって説得を試みる。

米紙USAトゥデーによると、その話の内容は「神」の話。女性は男に対して、「まだ、犯罪を押しとどめられる」と必死に語りかけた。すると、涙を交えての説得に心を打たれたのか、犯人も女性に犯行理由を打ち明け始めたそうだ。

男には2歳の子どもがいるものの、生活に行き詰って今回の事件を企てたという。ほかに方法がなかったと話す犯人に、女性も「人生を投げるにはあまりに早い。こんなことをしてはいけない」(米放送局ABCより)と畳みかけると、犯人は意外な行動に出た。

これからの困難な生活を打開できるように、「一緒に神に祈ってほしい」と願い出た犯人は、女性の前でひざまずいて手を合わせたのだ。女性も求めに応じ、一緒に祈りを捧げること約10分。祈りを捧げ終わると、男は「あなたを決して傷つけるつもりではない」と、銃から弾丸を取り出し、女性に渡した。こうして男を説得した女性は、男からの抱擁の求めにも応じたが、防犯カメラの映像からは、改心を喜ぶようにも、これからの生活を激励するようにも見える。また、映像ではカウンターの出口で穏やかに話しあう2人の様子も映し出され、一件落着かと思いきや、男には少しだけよこしまな心が残っていた。

穏やかなやり取りの中で、男は女性に「洗面所に入って、20分間だけ警察への連絡を待って欲しい」と話すと、女性の携帯電話と20ドル(約1,800円)を奪って堂々と逃走。その後、女性は警察へ連絡し、事件の一部始終を話した。そして、事件を伝えるニュースが流されると、男の母親が防犯カメラに映った我が子を見たこともあり、その夜に警察へ出頭、逮捕となった。

捕まったのは23歳の男で、警察は女性の説得が功を奏し、早期の逮捕に繋がったと話すとともに、「彼女は素晴らしいことをした。その行動は称賛されるべき」(ABCより)と称えている。また、「求めに応じて、被害者が犯人を抱きしめるなんて、こんなケースは見たことがない」(米ニュースサイトMSNBCより)とも。今回の事件は女性の愛情と信心深さが、犯人の邪悪な心を封じ込めたと言えそうだ。

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