「生き延びるため」の肺移植が逆に命取り、ドナーのガンが男性に転移。

2009/10/13 19:42 Written by Narinari.com編集部

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イラク出兵中に呼吸困難を伴う病気を発症し、その後の検査で、数年以内に肺移植手術を受けなければ延命の道はないとの診断……。英国陸軍のマシュー・ミリングトン兵士にとって、肺を提供してくれるドナーが現れるまでの時間は、想像を絶するほど長いものに感じられたに違いありません。

英紙デイリー・メールによると、ミリングトンさんが待ちに待っていた提供者が現れたのは2007年の春のこと。最初に体に異常を感じてから、すでに2年の月日が流れていました。手術は成功し、ミリングトンさんは妻のショバーンさんと共に、また新たに生活を始めることができたのです。

ところが、この幸せは長く続きませんでした。ミリングトンさんは手術から半年が経ったある日、ガンの宣告を受けてしまうのです。ドナーから移植された肺がガン細胞に侵されていたことが原因。1日に30〜50本は吸っていたという、生前はかなりのヘビースモーカーだったというこのドナー、肺ガンのリスクが高いのは当然だったのですが、医師団は移植前の検査でガンの腫瘍を見逃していました。結果的にミリングトンさんを助けるどころか、命を奪う病気を移植してしまったのです。

さらに、ミリングトンさんの体が「移植組織を拒絶しないように」と手術後に投与された薬には、体が病気に立ち向かうために絶対に必要な免疫力を、あえて低下させる働きがありました。そのためミリングトンさんの体はガン細胞に対する抵抗力を失い、病状の進み方が加速。治療の甲斐もむなしく、昨年の2月にお亡くなりになってしまったそう。

移植前にドナーの肺をきちんと検査せず、ガン細胞を見落としていたのは、明らかに医師団の過失。しかしその失態を隠すかのように、医師らが出したミリングトンさんの死亡診断書には「移植手術が招いた合併症」という、あいまいな内容だったと伝えられています。

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