雪崩に巻き込まれるとこう見える、ヘルメットのカメラが捉えた一部始終。

2009/10/09 18:18 Written by Narinari.com編集部

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先日、米動画サイトの「Vimeo」で、ヘルメットのカメラで撮影された“雪崩に巻き込まれた一部始終”の動画が公開された。雪山の斜面をスキーで滑り降りるはずが、雪崩によって雪の下へと閉じ込められ、救出されるまでの様子を刻々と記録したものだ。

この動画は、9月14日に投稿された「Avalanche Skier POV Helmet Cam Burial & Rescue in Haines, Alaska」(//vimeo.com/groups/4754/videos/6581009)。撮影者の男性が仲間と会話をしながら、滑る準備を進めるシーンから始まる8分42秒の動画だ。まっさらな雪が敷き詰められた急斜面に向かって男性が滑り出すと、風を切る音と相まってスピード感のある景色に。ところが、滑り始めてわずか13秒後、足下の前方斜面に亀裂が走り、男性が少し声を上げたときには周りの雪も崩れ、そのまま男性は転倒してしまった。

その後、雪の下に埋もれてしまった男性が時折「うっ」という声をあげながら、5分あたりまでその状況のまま。そして、5分20秒あたりからカメラの映像が青から白へと変化し、明るさが変化していく様子がわかる。小さく会話の声も聞こえ始め、男性も気持ちの高鳴りを示すかのように、「うっ」の声が頻繁に。すると、6分7秒で雪を掘り起こしていた仲間に無事に救助された。

投稿されたページにつづられた動画の説明によると、この場面は米アラスカ州南東部ヘインズの雪山で、2008年4月に撮影された動画だという。男性は吹雪の後の新しい雪を体験するべく、ガイドらと共にこの山に向かったそうだ。危険性を認識しながらも、スキー経験が豊富だった男性はグループの先頭を切って滑り始め、すぐに雪崩に巻き込まれてしまった。巻き込まれた時間は20秒足らずだったが、1,500フィート(約460メートル)も転がり落ちていたそうだ。

そんな彼の命を救ったのは、アバラングという道具。雪の中に埋もれたときに、周囲から空気を取り入れるための呼吸補助器具だ。男性はこの道具を装着していたため、雪崩に巻き込まれても辛うじて息はできる状況だったそう。ただ、「(動画の中で)すすりなくように聞こえる断続的な音は、アバラングが完全に入らず、口の端から空気を吸おうとしているもの」とも説明しており、危険な状況だったことには変わりないようだ。ほかにも、米放送局ABC系列デンバーチャンネルでは、「掘り出している人の首に、ビーコン受信装置を付けているのが見える」と指摘し、無線器具の装備も男性の位置特定に役割を果たしたと見られる。

結局、男性は無傷で救出され、動画の投稿者は「もしガイドと行っていなかったら、彼は死んでいただろう」と振り返り、熟練のガイドの存在の重要性を説いている。また、男性の手袋が埋まっていたポイントの近くにあったのも「とても運が良かった」。こうしたことが重なって、奇跡的に迅速な救出へと繋がったようだ。投稿者は最後に「多くの有名スキーヤーも命を落とした」とした上で、「母なる自然を尊重し、この動画から学んでください」とコメント。危険な場所で滑らないよう注意を促し、滑る場合はトレーニングをしっかり積む必要性を訴えている。

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