すべての所有物をなくすとどうなる? 女性芸術家が4万点を格安売却。

2009/10/07 11:32 Written by Narinari.com編集部

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本やパソコン、服やアクセサリーなど、「自分のモノ」が身の回りにどれほどあるのか、把握している人はいるだろうか。リビングのソファー、いつも見ているテレビ、思い出が蘇るCD、必死にお金を貯めて購入した腕時計、何気なく買ったグッズや観葉植物などなど。もし、そうした自分の所有物がすべて無くなってしまったら、どうなってしまうのか。そんな命題の答えを求めて、ほぼすべての財産を各1ポンド(約140円)で売りに出すキャンペーンを始めた女性がいる。

英南部ダービーに住む31歳のサラ・バーデンさんの仕事は芸術家。バーデンさんの公式サイト「crazy artlady」を覗いてみると、芸術家としての活動は絵画や展示物での表現がメインのようで、「トラファルガー広場で行われている、アントニー・ゴームリーの『フォース・プリンス』に、ヌードで現れた初めての人」(英紙デイリー・メールより)らしい。これは英国の彫刻家であるアントニー・ゴームリー氏考案のイベントで、今年7月6日から10月14日まで、ロンドンのトラファルガー広場に置かれた台座で1人1時間、思い思いの表現をするというものだ。

バーデンさんはこのイベントで、自分の裸体にペンキを塗り、白い布をキャンバスに見立てて作品を創るパフォーマンスを行った。公式サイトの中でバーデンさんは、イベントへの参加によって「素晴らしい経験をした」と語っている。

そんな芸術家のバーデンさんが、ときどき考えることがあった。それは「私の人生が幸せで在り続けるために、私の周りに必要なモノは何なのか」と、少し難しい命題。これにバーデンさんは、極端すぎる行動で答えを求めることに決めた。「『Everything and Nothing』プロジェクト」と題した計画を立て、身の回りのモノはほぼすべてを処分。本当に必要なモノだけを残して、来年のスタートを切るという。

デイリー・メール紙によると、処分するモノはジャンパーや家具、マグカップ、綿の苗、おばあちゃんの宝石、フォルクス・ワーゲンの乗用車など、その数は実に4万点以上。残すのは、1人で育てている4歳の息子サムくんのおもちゃと金魚、あとは小さなスーツケースだけという徹底ぶりだ。バーデンさんはこれらすべてを、郵送料の負担を求めた上で、各1ポンドで売却することを公式サイトで明かしている。さらにバーデンさんは、「人は自分の周りに財産を築くことで、自分の生き方を明確にする」と持論を展開。「それなら、財産を持たないとどうなるのか知ってみたい」と、芸術家らしい好奇心の胸の内を明かした。

また、公式サイトには「もしすべての財産を無くせば、それらは心の中に残り、多くの言葉や創造、満ち溢れたエネルギーとなって戻ってくるだろう」とつづり、今後の作品への糧となると考えているようだ。応募は10月1日から始まっており、初日だけで数百通の応募があったそう。商品には数字が振り分けられ、ランダムに抽選をした上で、応募者に送られる予定だ。

「『Everything and Nothing』プロジェクト」は12月31日まで続けられるが、始めたのは良いものの、バーデンさんの心にはすでに若干の揺れも。「いくつかは人に渡ってしまうか心配で、車は可能な限り残したい」と、失うリスクを目の前にして本音も語っている。

現在、プロジェクトの進行具合は記録として残しており、来年には本を執筆する可能性もあるというバーデンさん。人生で必要なモノは何なのか、バーデンさんは答えを見つけることができるだろうか。

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