捕ったファウルボールを娘が投げ返した、父親の寛大な行動が評判に。

2009/09/18 13:42 Written by Narinari.com編集部

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日本球界と同じく、シーズンも佳境を迎えつつあるメジャーリーグ。先日はマリナーズのイチロー外野手がMLB通算2,000安打に続き、史上初の9年連続200本安打を達成するなど、日本人にとっても嬉しいシーズンとなっている。レギュラーシーズンも残り3週間を切り、現在は各球団が地区優勝のタイトルを手にすべく、ラストスパートをかけているところだ。そうした中、ある試合の観戦に訪れた親子の行動が注目を集め、全米で評判を呼んでいる。

この一件は、9月15日のフィリーズvs.ナショナルズの試合の中で起きた。ナショナルリーグ・東地区首位を走るフィリーズが、30ゲーム以上離した同地区5位のナショナルズを迎えて行われた3連戦の初戦。フィリーズは2回までに5点を奪って主導権を握り、その後は両チーム得点が入らないまま試合は進んでいた。そして、5回の裏のフィリーズの攻撃中のことだ。

打者がバッターボックスに入り、3球目を叩くと、ボールはバックスタンドへのファウルボールとなった。すると、そのファウルボールは3階席最前列に座っていた男性が、身を乗り出しながら手でキャッチ。球場にいた観客からは「ナイスキャッチ」とばかりに歓声と拍手が沸き、打者もその様子を見届けた。

ファウルボールを捕り、周りの観客らとハイタッチをして喜ぶ男性の足元には、「ボールに触りたい」とばかりに、一緒に観戦していた小さな娘が腕を伸ばしている。男性は娘とも喜びを共有しようと、ハイタッチをした後にボールを渡したのだが、あろうことか、娘は間髪いれずにボールをグラウンドのほうへ投げ返してしまった。「何てこった……」と両手を上にあげる男性の隣には、「やっちゃった……」と額に手を当てる奥さんの姿も。

拍手をしていた周囲の観客の歓声も驚きの声に変わり、テレビ中継の実況アナも「ハッハッハ」と思わず大笑い。娘は球場の雰囲気の変化に戸惑ったのか、男性の顔を見つめながら胸に飛び込むと、男性は“優しいパパ”の表情となり、娘を抱きしめた。

テレビ中継の中で何気なく流れたこのシーンは、「心温まる親子の行動」としてたちまち評判を呼び、家族のもとには米メディアからの取材依頼が殺到。父親のスティーヴ・モンフォートさんは地元メディアに「エミリーが投げ返した時、皆さん知ってると思うけど、ちょっと笑って『何てことだ、行っちゃった』」と、その時の心境を語り、「娘が『間違ったことをしたのかも』って表情だったから、『何もしてないよ』って伝えたかったんだ」と、すぐに抱きしめた意味を説明している。

しかし、モンフォートさんは幸運の持ち主だった。偶然にも一家のそばでフィリーズの幹部が試合を観戦しており、キャッチしたファウルボールの代わりのボールをプレゼントされたという。実はモンフォートさんは3歳から球場に通い続け、初めて掴んだファウルボールだったそうで、思わぬ申し出に大喜びしたそうだ。

そして、17日にはテレビ番組に出演するため、会社を休んで家族そろってニューヨークへ。思わぬ形で全米の注目を集めることになったモンフォートさん。エミリーちゃんの“まさか”の行動を寛大に受け止めた父の姿に、グッと来た米国人は多かったようだ。

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