110番は「出前」の代わり? 腹減った路上生活者が警察を3回呼び出す。

2009/09/14 19:47 Written by Narinari.com編集部

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日本同様、中国でも110番は警察への通報用電話番号。中国では最近、公衆電話やケータイ電話からの110番通報だけでなく、言葉を発せられない特殊な状況や障害者を想定し、SMS(ショートメッセージ)を使った110番通報ができるようになるなど、その利便性はますます高くなっている。言うまでもなく、110番通報は緊急事態発生時には心強い味方なのだが、福建省福州では、その利便性を逆手にとった“困った”通報に、警察が頭を悩ませているという。

地元紙「東南快報」によると、警察官を悩ませているのは、孫と名乗る1人の路上生活者。孫さんは中国・安徽省出身の29歳男性で、約1週間前に福州に来たばかり。何でも人に騙されて福州に連れて来られたらしく、手持ちのお金もその時に失ってしまったそうだ。孫さんは今、故郷を大変恋しがっており、できれば警察に「救助駅」(路上生活者のために無料乗車券などを発行してくれる場所)に送り届けてもらい、実家に帰りたいと考えている。

そんな孫さんから、初めて110番通報が届いたのは、つい先日の夜のこと。食事をしようにもお金がなく、途方に暮れていた孫さんは、近くの公衆電話ボックスから無料の110番に電話をかけた。通報を受けて現場に到着した警察官に連れられ、パトカーで派出所まで行くと「腹が減っている」と切々と訴え、食事代をもらえないかお願いし始めたそうだ。最初は話を聞いていた警察官も「らちが明かない」と判断したのか、なけなしの食事代を孫さんに手渡し、派出所から帰ってもらうことにした。

しかし、この対応に味をしめた孫さんは、翌日午前、そして午後にも2度に渡り110番通報。現場に到着した警察官に派出所まで連れて来られると、またしても「腹が減った」と訴える。やはり初めは話を聞いていた警察官だが、これまた「らちが明かない」と判断。最終的に10元(約130円)程度の食事代をそれぞれ手渡し、また派出所から帰ってもらうことになった。

孫さんが巧みなのは、110番通報するときは絶対に「腹が減った」とは言わないことだ。別の用件で警察を呼び出し、その後に「腹が減った」と訴えるという、警察にとっては迷惑なパターン。特にこれといった身体的欠陥がなく、意識もしっかりしている若い男性を警察が救助駅や収容所に連れて行くわけにはいかないため、わずかな食事代を支払い、孫さんを追い返すほうが警察にとっては「無難だ」と判断されているそうだ。

騙されてお金を失い、街に放り出されたという気の毒な面はあるものの、この孫さんの行為には警察も困惑しきり。「110番はもはや出前電話扱いだ」(東南快報より)と嘆いている。

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