「男性疑惑」の金メダリスト、地元誌の表紙を女性らしい装いで飾る。

2009/09/10 13:18 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


ジャマイカのウサイン・ボルト選手が100メートル、200メートルで世界記録を樹立した今夏の陸上世界選手権ベルリン大会。その大会中、彗星の如く現れた女子アスリートがレースに圧勝したことで、「男性疑惑」が飛び出したことも記憶に新しいところだ。疑惑の渦中に置かれたのは18歳の女子800メートル金メダリスト、キャスター・セメンヤ選手。公の場ではこの件に関するコメントを控える状況が今なお続いているが、そうした中、地元南アフリカの雑誌「YOU」の表紙に女性らしい装いで登場し、欧米メディアが相次ぎ報道している。

セメンヤ選手が世界的に有名になったのは、8月19日に行われた女子800メートルでの圧勝劇。今年に入ってから急成長を遂げたというセメンヤ選手が、2位に入った北京五輪銀メダリストのジェネア・ジェプコスゲイ選手(ケニア)に2秒以上の差をつけて勝つと、欧米メディアを中心に「男性ではないのか」との疑惑が噴出した。

突如現れ、けた違いのスピードを見せつけたことや、筋肉質な体つきが“男らしい”という指摘による疑惑報道は瞬く間に世界へと広がり、国際陸上競技連盟も調査に乗り出す事態に発展。しかし、南ア陸連は国際陸連の性別確認の問い合わせを拒否し、南ア国民も反発を見せるなど、大きな波紋を広げることになってしまった。現在、国際陸連はセメンヤ選手の性別検査を行っているが、騒動が大きくなったことに国際陸連のラミーネ・ディアク会長は「もっと慎重に扱うべきだった」と対応の不手際を謝罪している。

ただ、セメンヤ選手の性別疑惑は、今年7月に行われたアフリカ・ジュニア選手権のときから存在していた。「性別を疑ったことは1度もない」と話していた南ア陸連が、本人に承諾を得ぬまま染色体検査を行っていたとも地元紙に伝えられている。こうした報道を南ア陸連は否定しているが、地元ラジオ局に告発をした南ア陸連のウィルフレッド・ダニエルズ代表コーチは9月8日に急遽辞任するなど、セメンヤ選手を巡る騒動は今なお収まっていない。

当のセメンヤ選手はレース後の記者会見を拒否し、帰国後の会見でもこの件を巡るコメントを避けている。現在は「南ア陸連の管理下で行動」(英紙タイムズより)と、メディア取材にも応じていないが、そうした中での雑誌「YOU」への登場となった。

表紙を飾っているセメンヤ選手は、黒いドレスにネックレス、さらに化粧をしてふんわりとオシャレな髪型を披露している。このセメンヤ選手の姿をタイムズ紙は「見覚えのない髪型」「女性らしい服装とポーズ」と表現。米ニュースサイトのイグザマイナーも「彼女が18歳の女性のように見えたのは、初めてといっても差し支えない」と、驚きを持って伝えている。

同誌のインタビューの中では、セメンヤ選手が「もっとドレスも着たいけど、今までそういう機会がなかった」(タイムズ紙より)と、練習漬けの毎日のため、着飾る機会がなかったと告白しているという。また、今まではセメンヤ選手の服は母親が買っていたこと、化粧の仕方を覚えたいと思っていることなども明かしているそうだ。

ちなみに、今回のYOU誌の表紙は南ア国民の間でも話題に上り、英放送局BBCによると、地元ラジオ局が意見を募ったところ「素晴らしい見栄え」との肯定的な見方と、「変身すべきでない」との否定的な意見に分かれたという。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.