「痩せるリップクリーム」に批判続々、米国発の商品が英国で物議。

2009/08/26 14:15 Written by Narinari.com編集部

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痩せたい人にとって、ダイエットは苦難の連続。摂取カロリーと栄養素のバランスを考えながら食事を選んだり、適度な運動を心がけたりと、相当な努力を傾ける人も多いだろう。「太るのが簡単なように、もっと簡単に痩せられれば……」との声が聞かれることもしばしばだ。そうした人たちの「痩せたい気持ち」を煽るようなダイエット関連商品は実にさまざまなものが登場しているが、今年1月、米国では「Burner Balm」と呼ばれる食欲の抑制や脂肪の燃焼を目的としたリップクリームが発売された。現在は米国内でのみ販売されている商品なのだが、今週から英国でも販売がスタートするのに伴い、同国内では「これを使えば痩せるとの勘違いを生む」との指摘が相次ぎ、発売前から物議を醸している。

米国では5.99ドル(約560円)、英国では4.95ポンド(約760円)で販売されるこのリップクリームは、米国のアラン・カーツ博士によって開発されたもの。「Burner Balm」の公式サイトにはカーツ博士のコメントが掲載されているが、それによると、内科医でもあるカーツ博士のもとには、半数以上の患者から、「いつも疲れて力がわかない」「痩せたいが、食欲をコントロールできない」といった相談が寄せられていた。そこでカーツ博士は、そうした悩みに役立つ商品を開発しようと決意。「エネルギーレベルを上げ、理想的な体重を手に入れるために『Burner Balm』を開発した」という。

「Burner Balm」には、天然カフェインや緑茶抽出物のほか、食欲抑制に効果があるというクロミウムやフーディア抽出物の成分を配合。中でも、フーディアと呼ばれる成分は、アフリカに住むブッシュマンが摂取していた植物から抽出したもので、サプリメントとしても米国で注目されているという。これらを含んだ「Burner Balm」を唇に1日4回から6回塗ることによって体内に吸収され、「エネルギーを増加させつつ、食欲の減退、体重の減少につながる」とカーツ博士は説明している。ちなみに、商品に使用される大豆油、緑茶エキス、天然カフェインなどにアレルギーを持つ人へは注意を促しているが、「通常、健康への問題はない」そうだ。

また、使用方法を説明するページでは、香りと味からも「エネルギー増加と食欲抑制につながる」と紹介。「これは革命的新商品」とその手軽さを示しつつ、「人々に安全なものとして、複数の医師によって開発された」と安全性に自信を見せている。数少ない注意事項は、前述のアレルギー面と、「天然カフェインと緑茶エキスが配合されているため、夜の使用は眠れなくなるかもしれない」程度だ。

しかし、今週から販売が開始される英国では、こうした触れこみが「女性の太るという不安を利用したマーケティング戦略」にあたると、非難の声が上がっているという。

英国肥満フォーラムのタム・フライ氏は、英紙デイリー・メールに対し、「このリップクリームが実質的に体重減少につながるかは疑わしい」と、意見を寄せている。フライ氏はこの中で「単に唇に塗られた成分量に比べ、人が消費する量がはるかに大きすぎる」と、その効果を疑問視。また、摂食障害援助団体「Beat」のスポークスマンは、「長い目で痩せようと思えば、リップクリームを使うのではなく、より少ないカロリー消費を心がけることだ」と注意を促している。その上で「女性の不安をもてあそぶ、1つのマーケティング戦略と感じる」と、メーカーの宣伝に不快感を示した。

さらにデイリー・メール紙は、ロンドンに住む女性に1日6回「Burner Balm」を塗ってもらうテストを実施。バニラ、イチゴ、ミント、アサイベリー、ザクロと全部で5種類の味の中から、ザクロ味を選択した女性は、「ちょっとざらざらした感触で、塗ったところがひりひりする感じ」と説明。「柔らかい唇を思わせ、味もいい」と単純にリップクリームとしては合格点を与えているが、「エネルギーの高まりを思わせたとは言えない。また、つけている間に食欲抑制感もなかった」と、効果については手厳しい。

「Burner Balm」の公式サイトには、「間食をしなくなった」「体重が落ちた」という、使用した米国人の感想が掲載されている。ただ、ホームページ上では、「1時間おきに塗っても安全と確かめられた」という実証テストがあるだけで、「痩せる」との根拠を示すものはない。それだけに、英国では「肥満フォーラムのフライ氏は商品の大規模なテストを要求した」(英紙インディペンデントより)と科学的な実証を求める声が上がり、「痩せる」との宣伝を問題視する向きが強いようだ。

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