「寝過ぎ」はアルツハイマーのリスクを高める? 危険性が倍増との報告。

2009/08/14 14:21 Written by Narinari.com編集部

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一般的に、6時間から8時間くらいがちょうど良いと言われる睡眠時間。当然個人差はあるものの、だいたいその程度の睡眠時間を確保しておけば、日常生活に支障を来すことは少ない。しかし、中には寝ることが大好きで、1日9時間でも、10時間でも寝ていたいという人もいるが、そんな長時間睡眠派にとっては気になる研究結果を、スペインの研究者が発表した。昼寝も含めて1日8時間以上寝ている人は、アルツハイマー病などの認知症にかかるリスクが倍増するという。

この研究は、スペイン・マドリード大学病院の専門家チームが行ったもので、欧州の専門誌「Journal of Neurology」で発表されている。調査の対象となったのは65歳以上の男女3,286人で、健康状態や生活時間を3年間に渡って追跡した。すると、140人に認知症の発症が認められたため、睡眠時間と認知症の関係性について研究を重ねたという。

その結果、居眠りも含めて1日の平均睡眠時間が8時間以上の人は、6時間から8時間の人に対して、認知症の発症率が2倍にのぼることが分かった。研究チームはこの差について「睡眠時間と認知症との重要な関係を見つけた」と発表。直接的な因果関係については、現時点では不明としながらも、「長い睡眠時間が認知症の初期症状、あるいはそのリスクの増加に関わっているかもしれない」との見解を示した。

しかし、英国アルツハイマー病協会のスーザン・ソレンソン博士は、この発表に否定的だ。「通常より眠ることが、認知症への直接的な危険要因になるとは思えない」と英メディアにコメントしている。

ちなみに、「寝過ぎ」による身体への悪影響の可能性は、これまでも幾度となく指摘されてきた。今年初めにも「長い睡眠時間は糖尿病にも関係する」との研究結果が発表されている。一見、たくさん寝ることは良いことのように思われがちだが、極端な睡眠はあまりオススメはできないというのは、よく聞かれる話だ。

もちろん今回の研究結果のように、「寝過ぎ」の弊害が指摘されたからといって、逆に「寝不足」のほうがマシ……という話ではない。デイリー・テレグラフ紙は「睡眠不足は脳機能に影響を及ぼす」との研究結果を紹介し、「適度な睡眠は必要」とクギを刺している。

どの研究もまだ因果関係が科学的に解明されているわけではないため鵜呑みにする必要はないが、悪影響の可能性が繰り返し指摘されているのは事実。小難しいことは抜きにしても、「寝不足」「寝過ぎ」といった極端な睡眠のとり方ではなく、やはり適度な時間を守りながら寝るのが一番無難なのかもしれない。

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