「サンダルを履くのは危険」と警鐘、傷口に入ると危ない菌も付着。

2009/08/12 14:17 Written by Narinari.com編集部

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履く煩わしさがないため、ちょっとした用事から気兼ねのないお出かけまで、今の季節は特に重宝するサンダル。しかしそんなサンダルに、実は危険が潜んでいるかもしれないという話題を米メディアが伝えている。研究者がサンダルに付着した細菌を調査したところ、傷口に入ると致命的な菌を含め、多数のバクテリアが検出されたという。

この調査は米民間研究機関「EMSL Analytical」の細菌研究室マネージャー、デニス・キニー博士の研究チームが行った。その内容は、2人の調査員が4日間、3.5ドル(約340円)のサンダルを履いてニューヨーク市内を練り歩き、外出先も記録した上でサンダルを回収。サンダルの表面に付着した細菌やバクテリアの種類や数を調べた。

その結果を伝えている米紙ニューヨーク・デイリーニュースよると、1人のサンダルからは一般的に見られる5種類のバクテリアだけで18,100、もう1人からは13,900もの数を検出したという。2人の行動は電車に乗って公園に行き、散歩をしたほか、遊園地でジェットコースターに乗ったり、野球を観戦。一般的な都市での行動がとられ、途中の地下鉄の駅では公衆トイレにも立ち寄った。

検出されたバクテリアのほとんどは非病原性のブドウ球菌だったが、中には、通常足に付着していないはずのバクテリアも見られた。「Aerococcus viridans」と「Rothia mucilaginosa」と呼ばれる2つの菌は、人間の口の中に存在するバクテリア。「Aerococcus viridans」はさまざまな感染症から分離した菌、「Rothia mucilaginosa」は髄膜炎や腹膜炎などの感染症を引き起こす可能性のある菌とされる。キニー博士はこれら菌がサンダルから検出されたことは「人がつばを吐いている証拠」と分析。それは黄色ブドウ球菌を拾う可能性も意味していると警鐘を鳴らしている。

黄色ブドウ球菌は人間の皮膚や鼻腔内にも見られる場合があるが、ブドウ球菌の中では毒性が強く、血流に入った場合や抵抗力が弱ったお年寄りは注意が必要な菌だ。感染すると、化膿やさまざまな感染症を起こす可能性があるほか、その毒性から食中毒やショック症状がもたらされる場合もある。最近では、治療に使われる抗生物質が効かない耐性菌も出現し、メチシリン耐性の「MRSA」や、バンコマイシン耐性の「VRSA」という言葉を耳にした人もいるかもしれない。

ニューヨーク・デイリーニュース紙も、この黄色ブドウ球菌の感染や、傷口からの侵入の可能性について「最悪のシナリオ」とつづっている。そして、「それがあなたの切り傷に入り込んだら血流を伝い、放っておけばあなたを殺すことができる」と、かなり直接的な表現を用いて危険性を指摘。さらにキニー博士も「MRSAでなくても、黄色ブドウ球菌であれば感染症を引き起こす可能性がある」との見解を示し、「出かける時は靴を履くのが望ましい」とコメントしている。

また、ニューヨーク大学医療センターのフィリップ・ティエルノ・ジュニア博士は、大都市には「多くのバクテリアが存在する」(ニューヨーク・デイリーニュース紙より)とした上で、ニューヨークではねずみやゴキブリによって細菌がばらまかれており、「全て有害な可能性がある」という。サンダルを履く場合は清潔さを保ち、足に傷を作らないよう、注意する必要があるのかもしれない。

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