無資格看護師が勝手に「最優秀看護師」の授賞式、上司や同僚も信じ込む。

2009/08/11 12:46 Written by Narinari.com編集部

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その格好や仕事の内容から「白衣の天使」とも呼ばれる看護師は、患者の世話をしたり、医師とのパイプ役を務めたりと、何かと頼りになる存在。実際に入院や通院をした際に、看護師に助けられたという経験を持つ人も多いだろう。各国によって状況は異なるが、そうした看護師になるためには、試験や審査を受け、資格を得る必要がある。しかし米国に、無資格のまま看護師として働き、周りの信頼を得るため「ナース・オブ・ザ・イヤー(年間最優秀看護師)」を“勝手に”受賞した女性がいた。

この女性は、米コネティカット州のノーウォーク病院で働いていたベティ・リヒテンスタイン(56歳)。リヒテンスタインは2007年から正看護師として同病院での勤務を始め、周囲からも「有能な看護師」として認められていた。また、自宅近隣の住民からは「素敵な女性」(米WABC-TVより)と評価されるなど、その人物像は決して悪くはなかったようだ。

病院では神経科のジェラルド・ワイズ博士のもとで働いていたリヒテンスタインだが、自分への信頼をより厚いものとするために、同僚たちに「コネティカット看護協会から『ナース・オブ・ザ・イヤー2008』を受賞した」と触れ回っていた。そして自ら授賞式を企画。上司であるワイズ博士を呼び、スピーチまで依頼した。これによりワイズ博士は「リヒテンスタインへの信頼を深めた」(米NBCより)と、メディアへのインタビューに答えている。

その行動自体は全く褒められたものではないが、リヒテンスタインの大胆な行動力は目を見張るものがある。「コネティカット看護協会」名の偽招待状を作成し、さらに自ら地元ホテルに会場を手配。本当に“勝手”授賞式を開催し、会場には40名ほどが集まったそうだ。

こうして「優秀な看護師」として周囲の評価を高め、信頼感を得たはずのリヒテンスタインだったが、思わぬところで落とし穴にはまる。今年3月、ワイズ博士の診察を受けた患者が、リヒテンスタインから注射を受け、「プロとは思えない」と苦情を申し出たために病院側が調査を開始。さらに、処方箋を偽造して鎮痛剤の麻薬を薬局から手に入れようと画策していたことが発覚し、警察に御用となった。

その後の調べで、リヒテンスタインが賞をもらったという「コネティカット看護協会」自体が存在しない団体であることも判明している。大胆かつ綿密な計画で、周りを信じ込ませたリヒテンスタインだったが、嘘で塗り固められたキャリアがいつまでも維持できるほど、現実は甘くはなかったようだ。

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