警察のミスで2か月に3回逮捕されそうになった男、身分証番号の間違いで。

2009/08/07 21:57 Written by Narinari.com編集部

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中国人であれば、誰もが持っているIDカード(中国語では「シェンフンジェン」)。日本では免許証やパスポート、保険証が身分証の代わりとなるが、中国ではこのIDカードが身分証であり、銀行口座を開いたり、パスポートを取得したり、インターネットカフェに入店したりと、ありとあらゆる場面で提示が求められる。今回、重慶で起きた事件は、警察のミスでIDカードの番号を犯罪者と同じにされ、2か月の内に3回も逮捕されそうになった気の毒な男性の話だ。

「重慶晨報」によると、事件の被害者となったのは28歳の張洪さん。運転手をしながら生計を立てている、どこにでもいるような普通の男性の張さんが、最初に逮捕されそうになったのは5月31日のことだ。20時ごろ、張さんが夕食先から自宅に戻ると、8人もの警察官が突然自宅に突入してきた。警察は部屋に入るや否や張さんを捕まえ、「逃げるな、白状しろ!」と叫んだという。

でも、張さんやその場に居合わせた奥さんは何のことだかサッパリ分からず、驚くばかり。後々判明したところでは、4月に広東省深セン市で起きた傷害事件の犯人のIDカードと、張さんのIDカードの番号が警察の端末で一致し、警察は張さんを犯人だと勘違いしていたのだという。最終的に張さんの身の潔白は証明されたものの、張さんはその晩、眠れなくなるほど怖い思いをしたそうだ。

2回目は6月末。張さんが仕事から家に帰ろうとすると、遠くから張さんのことをじっと見つめている人たちがいることに気が付いた。張さんの同僚の説明では、どうやら私服警官らしい。張さんは当初、交通違反で警察にマークされたのかと思ったそうだが、10数年前に免許を取得した際に、古いIDカード番号を登録していたことを思い出し、5月の事件同様、「面倒な問題に巻き込まれたのかもしれない」と心の中で呟いたという。警察はしばらく張さんのことを監視していたそうだが、そのまま現場を立ち去り、このときは張さんは逮捕されることはなかった。

そして、3回目は7月28日、張さんが信号無視をしてしまい、それを発見した警官が免許証の登録情報を確認。このときはそれで解放されたのだが、当日14時ごろ、会社にいた張さんのもとに警察が訪れ、突然、手錠をはめられてしまった。

張さんは「交通違反を犯したことは事実だけれども、なぜ手錠をはめるのか」と質問。すると警察は逆に「4月に深センで犯罪を犯したか?」と質問を切り返してきた。そこで事情を理解した張さんは、警察に説明。ひと悶着があったものの、これまた身の潔白が証明され、張さんは無事解放されたという。

派出所が調べたところによると、張さんが10数年間使用していた古いIDカード番号は誤記であることが判明。新しいIDカードへ切り替える際に警察側が編集ミスを犯し、楊という名の犯罪容疑者と同じ番号になってしまった。そして、楊が深センで犯罪を犯したために、張さんは数々の事件に巻き込まれてしまったわけだ。

また、偶然にも、張さんと楊の生年月日や出身地が同じだったことも、事態をややこしくしてしまった。挙句に身長もほとんど同じだったというのだから、「偶然」とは何と恐ろしいことか。

張さんは現在、同じような災難に遭わないために、古いIDカード番号が誤記と証明できる書類を派出所で発行してもらい、常に携帯しているという。しかし、養老保険などの登録に古いIDカード番号を使用したままの状態であることから、「まだ気は抜けない」と語っている。

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