口が臭いと宇宙に行けない? 超難関の中国宇宙飛行士選抜試験が話題に。

2009/08/06 11:24 Written by Narinari.com編集部

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科学技術の発達により、宇宙開発に力が注がれる昨今。それに伴い、先日地球に帰還した若田光一さんをはじめ、厳しい選抜試験をくぐり抜けた飛行士たちが続々と宇宙へ旅立つようになった。そうした中、自国での宇宙開発に力を入れる中国が宇宙飛行士の募集を開始したのだが、そのあまりに厳しい選抜基準が話題を呼んでいる。

中国紙「中国日報」によると、第1次選考となる試験は7月末頃行われ、ここでは精神面や身体面のテストが実施された。テストは中国内にある5つの病院で行われたが、そのひとつ、南京にある病院では、大卒の空軍パイロットの中から選ばれた100人が参加。100にも及ぶ項目が審査された。

「重病歴がない」という項目はともかく、審査項目は「頭からつま先に至るまで、傷跡がない」「口臭がない」「虫歯がない」といった細かいところまで、実に多岐に渡っている。これらは、いずれも「許さない」という表現が用いられており、明確な選抜基準の1つとなっているようだ。

こうした審査項目を設けていることについて、病院関係者は「例えば傷があると、宇宙船の加速時に破れて流血するかもしれない」と説明。さらに口臭や体臭に関しては「狭い空間で、他のメンバーに影響があるかもしれない」といった理由を挙げ、「こうした条件を満たした候補者は、『超人』と呼ばれるだろう」とも語っている。

ちなみに、宇宙開発の先進国である米国や、日本で宇宙飛行士を選抜する場合には、口臭や虫歯といった項目は含まれていない。米国の審査基準に準拠している宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2008年に飛行士を募集した際の要項では、身体的条件は身長158センチ以上190センチ以下、体重50キロ〜95キロ、矯正視力で両眼とも1.0以上といったことが定められている。これに加え、自然科学系の学部卒業や英語力などの素養、泳力、自動車免許取得などの様々な条件も。全部で11個の項目を設けてはいるが、中国のように口臭や傷跡といった項目は含まれていない。

また、2006年にロシアの宇宙船に乗る飛行士を募集した韓国の場合も、その身体的条件は身長150センチ〜190センチ、体重50キロ〜95キロ、視力は裸眼で0.1以上、矯正で1.0以上といったところ。糖尿病や狭心症などの病気を持つ人は除外され、他にも体力面や教養に関する条件が挙げられたが、日米の基準と大きな差は感じられず、この比較だけでも中国の基準の厳しさがわかる。

こうした基準は各国メディアも注目しており、英紙ガーディアンは鼻炎や皮膚病のほか、「3代さかのぼって重病にかかった家族がいる人も除外」と紹介。米科学サイトのデイリー・テックは、中国の臭いに関する基準から話題を広げ、若田さんが1か月履き続けていたハイテク下着(※臭い対策も施されている)にも触れている。

なお、虫歯の問題は1995年のJAXAの選抜試験では考慮の材料となっているが、これは当時の治療技術では宇宙空間で歯に痛みが出る恐れがあったから。現在は治療技術の進歩により、しっかり治療をすれば問題はないという。今回の選抜試験では厳しい条件を課している中国も、ほかの技術の進歩に伴って、将来的には緩和されていく可能性はありそうだ。

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