猫は人間を操っている? 鳴き声の研究で明かされたポイントは「低い声」。

2009/07/16 19:20 Written by Narinari.com編集部

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飼い主であるはずの人間が、実は猫の声によって操られていた――。そんな研究結果が英国で発表された。同研究によると、猫が何らかの要求をする際、意図的に「低い声」を出して人間の注意を惹きつけ、人間がその声を無視できない心理作用を利用しているという。

この研究は、英サセックス大のカレン・マッコム博士(生物学)らが行い、7月14日発行の専門誌「カレント・バイオロジー」で発表したもの。マッコム博士は、自身が飼っている猫が毎朝のどを鳴らして同博士を目覚めさせることから、「なぜ喉を鳴らすのがうるさく聞こえ、無視し難いのか」という疑問を抱いたそうだ。猫を飼っている人たちに話を聞くと、同様に感じている人がいるのが分かったため、今回の研究を始めた。

マッコム博士らは、10匹の猫が食べ物を探して活発に動き回った際と、それ以外の時の鳴き声を飼い主に録音してもらい、猫を飼っていない50人に聞かせて印象を尋ねた。

その結果、被験者50人は食べ物を探している際の声に緊急性を感じ、猫が楽しくない状況にあると判断。この時の鳴き声は「『ニャー』という高い声に、喉を使った低い声が混ざっている音」だという。

マッコム博士らはさらに、デジタル技術を使って意図的に低い音を除去した鳴き声を聞かせたところ、被験者は鳴き声に緊急性を感じず、猫が穏やかな状態にあると判断した。この結果について、同博士は「猫は緊急の用件がある時に喉を使って低い声を用い、その声はサブリミナル的に作用して人間の緊張感を引き起こす」としている。また、猫の低い声は赤ちゃんの泣き声と周波数が類似しているという。そのため、人間は無意識に注意を引き付けられてしまうようだ。

さらに、マッコム博士は「猫が低い鳴き声に人間の注意を引く効果があると分かれば、さらに劇的に誇張して用いると思う」とした。ただし今回の研究では、すべての猫がこの声を活用しているわけではないということも明らかになっている。

この声を使うのは、飼い主と1対1のコミュニケーションを頻繁に取っている猫に多いそうで、マッコム博士は「猫がさまざまな声を使い分け、喉を鳴らすことが飼い主の注意を引くと学習するから」と説明している。つまり、飼い主を操れる猫は、それだけ飼い主に愛されている証拠とも言えそうだ。

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