ダウン症患者のガン死亡率は一般人口の6分の1、ガン治療分野でも注目。

2009/07/09 16:12 Written by Narinari.com編集部

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ダウン症をもつ人々のガン死亡率は、一般人口の6分の1。そんな研究結果をスイスの医療専門誌「Urologia internationalis」が伝えています。

ハーバード大学とフランスの国際ガン研究所の疫学/バイオ統計部に席を置くアニー・サスコ博士らは、ダウン症をもつ人々の膀胱ガンと腎臓ガンの死亡リスクが、一般人口と比べてどう違うのか、統計を調べました。さらにダウン症の有症率、平均寿命などを考慮に数値を補正しつつ、ほかのリスクは一般人口と同様であるとみなし、ダウン症の人々におけるガン死亡数を予測。すると、実際の死亡率は一般人口の6分の1と、はるかに低い数値だったのです。

また米国の別の調査でも、過去にダウン症とガン有病率の特異な現象が観測されているそう。アメリカ疾病予防管理センター傘下である、「National Center on Birth Defects and Developmental Disabilities」(ジョージア州アトランタ)で2003年に行われた研究でも、上記研究のように、ダウン症の人々の間にはガンによる死亡ケースが少ないことが判明しています(ただしダウン症であった人の死亡証明書上で、死亡原因の項目に本来の死因である「ガン」ではなく「ダウン症」と書かれてしまった可能性もある、という注訳付き)。

ダウン症とガン発症率、この関連性はどうしてあるのでしょうか。まだハッキリとした結論は出ていませんが、どうやらダウン症の原因となる21番染色体トリソミー(通常2つである遺伝子ペアが、3つ出来た状態)が、ガンの発症率を抑えているのではないか、という仮説が有力だとか。余分にある染色体のどこかに、ガン細胞を抑制する遺伝子があるのではないか、その可能性が指摘されているのです。

ダウン症の研究が進むことで、ガン治療の分野でもその知識が役立つ――。近い将来、医療分野でこのようなことが起こるかもしれません。

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