霊安室から忽然と姿を消した遺体、中国の病院に“臓器売買”の噂も。

2009/07/01 20:06 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


「違法な臓器売買が行われているのではないか」と、疑いの眼で見られることも多い中国。国際人権団体は、中国では死刑囚から受刑者本人や家族の同意を得ることなく臓器を摘出するケースや、交通事故などによって死亡した患者から遺族の同意を得ずに臓器を摘出したケースが見らるなどとして、たびたび批判を行ってきた。そうした批判を受け、中国では2007年にあらゆる臓器売買を禁じる「人体臓器移植条例」が施行されたが、臓器売買の市場は巨大に成長してしまっているため、条例が十分機能しているとは言い難い。それを裏付けるように、6月16日には山東省の病院で新たな臓器売買疑惑が発覚。病院側は完全に否定しているが、真相は“闇の中”だ。

北京の「新京報」によると、事件が起きたのは6月18日のこと。16日の晩に交通事故で死亡した22歳の男性(李玉林さん)の遺体が、病院の霊安室から忽然と姿を消した。李さんの家族によると、遺体は病院の霊安室に保管されており、検視を待っている状況だったという。

18日に検視が行われることを知らされた李さんの家族は、当日病院を訪問。すると霊安室の係員から「遺体は前日運ばれていきました」と突然言われてしまった。「臓器売買ではないか」とのウワサも耳にした李さんの家族は、ショックを受け激怒。病院の窓をたたき割るなどして、病院は一時、100人もの警官が動員されるほどの混乱ぶりだったという。病院側は「遺体を間違えて火葬してしまった」と謝罪するものの、臓器売買は完全否定した。

病院側は「当日、霊安室には(張さんという人の)別の遺体が保管されていた」と状況を説明。張さんの家族は遺体を火葬することに同意していたため、霊安室の作業員が張さんの遺体と李さんの遺体を混同し、間違って火葬場へ運んでしまったそうだ。張さんの家族がきちんと遺体を確認しなかったことが原因なのか、それとも霊安室の作業員が張さんの家族に遺体の確認を怠ったことが原因なのか、詳細は明らかにされていないが、仮にこの話が本当だとしたら、何ともずさんな管理方法だと言える。

今回の問題は、25日、病院側が李さんの家族に10万元(約140万円)を支払うことで和解が成立した。また、病院側は責任者の処分も行ったという。李さんの遺体は依然行方がわかっておらず、臓器売買であるかどうかは噂の域を出ていないが、仮に臓器売買でないにしろ、病院の信用が大きく損なわれたことは間違いない。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.