80歳おばあちゃんがネットで人生バラ色に、趣味はチャットとアニメ鑑賞。

2009/06/29 22:05 Written by Narinari.com編集部

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充実した老後をどのように迎えるか――。若い人にとってはまだ遠い話でも、社会全体が高齢化へと突き進む日本にとって、切実に、そして真剣に考えていくべき大きな課題だ。そんな日本と同様に、中国も高齢化が急速に進んでいる国。中国では家族と離れて暮らす老人の孤独死が増えており、心身ともに高齢者をいかに支援していくかは、政府の課題となっている。そうした中、ネットを通じて人生の楽しみを再発見することができたという、中国のある80歳の老人にスポットが当たっている。老人たちの孤独を和らげる上で、ネットが担う役割は想像以上に大きいのかもしれない。

中国紙「重慶晨報」がその生活ぶりを紹介しているのは、重慶で暮らす80歳のおばあちゃん・祝英台さん。この名前は本命ではなく、中国の民間説話からとったネットのハンドルネームだという。祝英台さんは毎日パソコンに向かって何時間もネットをするのが日課。パソコンでビデオチャットを楽しみ、ネットで動画を見るのが最も好きなことだと語る。彼女は、今年3月から高齢者向けパソコン教室に通い、パソコンとネットを学んだばかりだ。

祝英台さんがネットをやり出したきっかけはビデオチャットだった。祝英台さんには米国で暮らす家族がおり、金融危機後、国際電話の通話費を節約しようとビデオチャットを始めたのだ。その後はビデオチャットだけでなく、ネットアニメ鑑賞にも没頭。祝英台さんの1日のスケジュールは大忙しで、早朝パソコンの電源を入れて息子とビデオチャットで連絡をとり、その後はアニメを鑑賞する。外に買い物に出かけ、料理を作り、午後になるとネット友だちと雑談。夜になると、パソコンでお気に入りのアニメをライブラリーにまとめているそうだ。

「重慶晨報」の記者が祝英台さんのパソコンを見ると、USBメモリやデジタルカメラなどが備え付けられていたという。祝英台さんは「スキャナーとプリンターを増やす計画もあるのよ」と笑顔で語っている。

祝英台さんは、かつて麻雀をよくしていたが、歳をとった後のことが不安になり、家でボーっとする日が増えていたそうだ。しかし、今の祝英台さんにはネット友だちがたくさんいる。祝英台さんは「若い人たちは私の先生。いろいろとパソコンのことを教えてもらっているのよ」と、日常生活ではなかなか交流する機会がないであろう、若い人たちとの関わりを楽しんでいるようだ。ネット友だちの一人、歳月さんは、祝英台さんの向学心の強さに感心するとともに、「多くのネットユーザーが(祝英台さんに)興味を持っている」と話している。

祝英台さんは「たとえ将来歩けなくなったとしても、私は家のパソコンで遊べる。私はいつも外の世界を身近に感じることができて、ボケるのを少し遅らせることだってできるのよ」と、もうパソコンを手放すことができない様子だ。

とかく「孤独」と言われがちの高齢者たちにとって、パソコンは「孤独」を紛らわせ、新たな活力を生み出す可能性を秘めているのは事実。中国において祝英台さんのような存在はまだ珍しいが、政府がするべき、高齢者支援のひとつの方向性を示しているケースと言えるのかもしれない。

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