中国でまた「ウルトラマンたたき」、影響を受けた児童の暴力が問題に。

2009/06/26 17:58 Written by Narinari.com編集部

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今年3月31日、中国の温家宝首相が「私の孫が見る番組は『ウルトラマン』ばかり。もっと中国アニメを見るべき」と発言し、中国のネットで“ウルトラマンたたき”が起こったことをご存知だろうか。日本でもこのニュースは報道され、日本のネットの書き込みには「ウルトラマンは悪くないだろ」「自国の子ども向け番組の脆さをウルトラマンの責任にするな」などの批判が殺到。日中間で応酬が続いた。その続報ではないが、今度はウルトラマンに影響されたという児童の暴力が、中国国内で問題となっている。ウルトラマン論争はまだまだ続きそうな気配だ。

6月25日の『重慶晩報』によると、問題となったのは中国・重慶南岸区に住む2歳の男の子(童:仮名)の行動だ。同い年の子どもに会うたびに、ウルトラマンが戦うシーンを自ら再現。相手を敵とみなして素手や武器を使って子どもたちを殴るのだという。母親の証言によると「息子はウルトラマンに心酔し切っています。どれだけ多くの子どもたちが息子に殴られたのか、覚えていないほどです。私はどうすれば息子の暴力を止めることができるのでしょうか」と深く悩んでいる様子だ。

この母親がそこまで悩むのにはワケがある。つい先日、童の暴力が原因で、自分も事件に巻き込まれたからだ。童が3歳の男の子相手にウルトラマンを真似て戦っていたところ、童が殴る瞬間を相手の母親が目撃し、「息子が突然殴られた」と思い激怒。息子を助けようと“参戦”したところ、結果として親同士の戦いに発展してしまった。戦いの結果、童の母親はイヤリングとネックレスを相手に引き取られたのだという。こうしたことに加え、自宅で童はウルトラマンの真似ばかり。家で暴力を振るうようになったそうだ。

童がウルトラマンを知ったのは20日前のこと。母親が家事で忙しくしていたところ、ふと気付くと童はテレビに“首っ丈”になっていたのだという。そして、その番組がほかでもない、ウルトラマンだったそうだ。母親が童のあまりの心酔ぶりに危険を感じ、テレビの電源を抜いてもまったく効果なし。ウルトラマンを観させるまで泣き叫び続けるようになった。また、外出するときは、ウルトラマンに登場する武器の購入をせがみ、購入を拒むと1時間は店から出ようとしないハマりっぷり。母親が言うには、童は「自分が小さなウルトラマン」だと錯覚しているようで、「ほかの子供たちはみんな(ウルトラマンの)敵」なのだという。

地元記者が何人かの子どもに取材したところでは、全員がウルトラマンを知っていたほど、中国内でウルトラマンは浸透している。極端な子どもになると、ウルトラマンのことを聞いただけで、ウルトラマンの動作を真似し始めるなど、子どもたちを虜にさせているようだ。そのため、同紙は童の母親以外にも、同様の悩みを持つ親は多いとしている。

しかしながら、29歳のある男性は「暴力性の高い子ども番組は昔もあった。問題なのは親の教育方法であり、子どもに忍耐力を養わない教育こそ暴力の原因」と冷静に分析。また、かつて自分が園長を勤める幼稚園で似たような暴力事件を目撃した潘氏は「子ども番組には(子どもへの影響力を考慮した)厳格な等級制度が必要」だと話す。中国のネットでは、今回の報道を受けて恒例の“ウルトラマンたたき”がまた始まっているが、「うちの子どもも同じなのよ」といった意見も少なくないようだ。

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