チーズ作りからモデルまで、全米各州で働く旅に出た男性のサイトが話題。

2009/06/25 18:40 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


昨年の金融危機以降、世界各国で会社の倒産が相次いでおり、米国ではついに大手自動車メーカーのクライスラーとゼネラル・モーターズが破綻した。こうした不況で就職に苦しむ若者が多い中、全米50州で各1週間ずつ仕事を体験する旅に出た男性が話題になっている。その様子は自身が開設したサイトに更新され、1日100万アクセスを記録するほど人気になっているという。

この旅を始めたのは、米カリフォルニア州に住んでいた26歳のダニエル・セディッキさん。米ABC系「WHTM-TV」によると、セディッキさんは4年前に南カリフォルニア大を卒業したが、就職活動で40社の面接にことごとく失敗し、卒業後も3年にわたって就職先を求めたものの成果は得られなかった。

そこで、今回の旅に出ることを思いつく。旅の目的は「それぞれの州の文化や経済が分かる仕事を選び、それに触れながら生活する」(英スカイニュースより)ことなのだとか。昨秋に出発したセディッキさんが最初に就いたのは、ユタ州ソルトレークシティの教会で人道支援を行う仕事。セディッキさんのサイトではその時の様子が記されており、前日にルイジアナ州ニューオーリンズを襲ったハリケーン「グスタフ」の被災者のため、衛生セットをパックする仕事を任されたという。ところが早くも仕事の厳しさに直面したようで、初日である9月2日の日記に「責任者は50万セットを送る予定だと僕に話したが、僕には200セットしか作れなかった」とつづっている。

とはいえ、日を経るごとにこの仕事に充実感を覚えたそうで、最終日の9月5日の日記では、ともに仕事をしたミャンマー人難民との出会いや、人口の多くがモルモン教徒というユタ州の文化に触れ「とても素晴らしい体験ができた」と記している。付近を散策した様子も紹介しており、残り49州での仕事にも期待を寄せつつ最初の州をクリアした。

それから約10カ月、現在までに40州を制覇しており、その間、セディッキさんはさまざまな経験を積んでいる。チーズ作りや整備士のほか、オハイオ州では地元テレビ局で天気予報を伝え、インディアナ州では自動車レース「インディ500」のピットクルー、ノースカロライナ州ではモデル業までこなしたという。

セディッキさんはこれらの仕事で、毎週300〜3,000ドル(約2万9,000〜29万円)を稼いだとのこと。順風満帆でない時期もあったようだが、サイトを見る限り、最近はスムーズに進んでいるようだ。現在は、ペンシルベニア州で家具の組み立て作業の仕事をしており、旅行が終わったら「他の求職者の応援になるように、本を書くつもり」と話している。

スカイニュースによると、人気者になったセディッキさんのもとににいくつかの就職のオファーも届き、さらにハリウッドではこの旅を題材にした映画製作を検討しているそうだ。日本でも日本テレビ系「電波少年」の大陸横断ヒッチハイク企画が人気となったが、人との出会いや文化を知る意味では、セディッキさんの体験も近いものがあると言える。積極的に仕事を目指すセディッキさんの姿勢に、勇気づけられる求職者は米国以外にも多いのではないだろうか。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.