感動を呼ぶ老夫婦の「指輪物語」、紛失現場目撃者の機転で大切な指輪戻る。

2009/06/17 22:18 Written by Narinari.com編集部

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どんなものでも長年使っていると愛着がわいてくるが、愛着があればあるほど、失った時のショックは計り知れない。それが思い出の品ならなおさらだ。米ニューヨークに住む88歳の女性が落とした指輪も、自身の歴史と夫の愛情が詰まった大切なものだった。

フロリダ州の地方紙セントピーターズバーグ・タイムズによると、92歳のエドさんと88歳のメアリーさんのマルツェク夫妻は、ともに米国で生まれ、幼い頃に互いの親の母国であるポーランドに戻ったが、ナチスドイツの侵攻に追われて再び米国へ移住した。共通の友人を通じて、エドさんが23歳、メアリーさんが19歳の時にニューヨークで知り合い、4か月後に結婚。2人の子供にも恵まれた。

当時は子供の散髪代や歯医者の費用にも事欠く有様で、子供たちの服はすべてメアリーさんの手作り。さらに、結婚したときにエドさんが贈ったメアリーさんの金の指輪も質素なものだった。しかし、マルツェク夫妻は決して貧しいとは感じなかったという。

こうしてともに12年間過ごしてきたある日、エドさんはメアリーさんに改めて金の指輪をプレゼントした。今度の指輪には15個の小さなダイヤが散りばめられており、その日以来、メアリーさんは60年近くも肌身離さず身に着けていたそうだ。

その指輪がメアリーさんの指から離れ、草むらの中に消えていった。草がうっそうと茂るバス停で夫婦がバスを待っているとき、メアリーさんが草を払おうとした瞬間の出来事だった。2人は近くのガソリンスタンドでハサミを借り、草を刈って懸命に指輪を探したものの見つからない。エドさんが「もう帰ろう」と声をかけても、メアリーさんは「指輪を見つけるまでは帰らない」と頑張っていたが、とうとう諦めて家に戻ることに。メアリーさんは地面をたたいて泣き出したという。

ところが、マルツェク夫妻の様子を偶然にも目撃していた保安官補が事情を知り、地元の金属探知名人であるジョージ・コルマー氏にすぐさま連絡。コルマー氏は急いで金属探知機を持って駆け付け、ガソリンスタンドの店員に指輪を失くした場所を教えてもらうと、わずか10分ほどで見つけ出した。

連絡を受けたメアリーさんは、届けに来てくれたコルマー氏を出迎えると号泣。喜びのあまり、50ドル(約4800円)をジョージさんの手に握らせたそうだ。同紙は、指輪とメアリーさんの心がつながっていたと記事を締めくくっている。

偶然が呼んだ発見劇ではあるが、メアリーさんの歴史が詰まったこの“指輪物語”に、同紙のコメント欄には掲載から1日で2800件を超えるコメントが殺到。「何て感動的な話なんだ」「世界で嫌なニュースが伝えられる中、この物語は特別。親切っていいね」「この記事に出会えて本当に良かった」など、読者は総じて心が洗われた様子だ。それは、コメントの終わりに「2人に幸あれ」と結ぶ人の多さからも伝わっている。

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