「妊婦の拒食症患者」が増加、母体や胎児への悪影響に医師らが警鐘。

2009/06/11 13:58 Written by Narinari.com編集部

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妊娠による体重増加を気にするあまり、妊娠中にも関わらず神経性無食欲症(拒食症)を患ってしまう女性たちが近年増えており、これを懸念する医師らが警鐘を鳴らしています。妊娠中に、胎内の子どもの分と「二人分」食べることは悪影響との指摘もありますが、当然ながら、その逆のパターンも母体・胎児には良い影響を与えません。

拒食症のことを、英語ではアノレキシア(正式病名は「Anorexia Nervosa」)と言いますが、この言葉と妊娠を意味する「Pregnancy」を組み合わせて、妊娠時の拒食症のことを「Pregorexia」(プレゴレキシア)と呼ぶそう。妊娠中の体重増加は当たり前なのに、その体の変化に耐えきれず、過度の運動を続けたり、ほとんど食べるのを止めてしまったり、食べても嘔吐をくり返したり……、といった行為に走るのがこの症状の大きな特徴です。

もちろん、コレが体に良いはずはありません。母体の体重減少はもとより、脱水症状、低血糖症、貧血、栄養失調によるめまい、そして重度の栄養失調は心不全をも引き起こします。そして当たり前のことですが、プレゴレキシアは母体の健康を損なうだけでなく、胎児の成長も妨げてしまいます。プレゴレキシアの母親から産まれた新生児は未熟児状態で誕生することが多く、さらにてんかんや、二分脊椎症という難病を持って産まれてくることもあるそうです。これらはその後の成長に悪影響を及ぼすばかりか、知能面に障害を抱えてしまうことも。

これだけのリスクを負っていながら、なぜそこまで食べるのを拒絶してしまうのか? それほどまで痩せていたいのか? 産まれてくる赤ちゃんが大切じゃないのか? と、他人から見ると理解できないことばかりですが、その原因は通常の拒食症と同じで、いろいろな心理的要因がかかわっています。そのため、プレゴレキシアだと判断されても、早急に治療、完治できるというものではありません。妊娠期間は10か月。その間に完治することなく、リスクを抱えたまま出産に至るというところが、この病気の難しいところです。

今回、プレゴレキシアの危険性を述べているのはシンガポールの医師らでしたが、この国だけに限らず、「スリムであることが美」という文化があるかぎり、世界中のどの国でも同じような問題を抱えていると言えそうです。

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