加熱中の電子レンジで5分間生き延びたアリ、秘密は小さい体と「運」か。

2009/06/09 17:23 Written by Narinari.com編集部

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冷めた料理の加熱から、下ごしらえ、調理など幅広い用途で利用されている電子レンジ。マイクロ波によって食品中の水分子が振動エネルギーを発して温められる仕組みだが、その論理に従えば、水分を持ったものなら動物だろうが昆虫だろうが加熱できそうなものだ。でも、ネットではたびたび「アリは電子レンジでは死なない」というトピックが話題になることをご存知だろうか。

かつて米GoogleのQ&Aサイトに、こんな質問が米国人から投稿されたことがある。投稿者は朝食を温めるために5分間電子レンジを使用し、朝食を取り出すと、レンジの中に数匹のアリがいるのを発見した。そのアリたちは5分間もマイクロ波を浴びたにもかかわらず、死んでいなかったそうだ。投稿者は多少電子レンジについての知識があるのか、マイクロ波の波長に対してアリが小さ過ぎる可能性や、ターンテーブル上ではなく側面や隅に移動してマイクロ波を避けた可能性を指摘している。その上で「どうしてアリは生き残れたと思いますか?」という質問を投げかけた。

以前、つるの剛士も日本テレビ系「人生が変わる1分間の深イイ話」で、クマムシを電子レンジに入れても死ななかったと証言し、観客を驚かせたことがある。クマムシは体長1ミリほどの「緩歩動物」で、水がなくても乾燥して仮死状態になり、摂氏−273〜150度という極限の環境でも生き延びることができるため、「地球最強」と呼ばれる生物だ。ただ、人の致死線量の50倍となる放射線を浴びても、真空でも死なないが、力を加えられて潰されると死んでしまう。アリはクマムシのように、どのような環境でも生き延びるほどタフではないが、ともにマイクロ波を浴びても死なないのは、体内の水分量と大きさが関係してるのかもしれない。

米GoogleのQ&Aサイトに寄せられた回答を見てみると、電子レンジのマイクロ波が「定常波」であることが鍵の模様。この定常波は、底や側面にぶつかっても来た方向に戻る。つまり、電子レンジのマイクロ波は縦横無尽に飛び回るのではなく、ある特定の領域だけ照射し続けるというわけだ。食材はターンテーブルで回転することによってあらゆる方向からマイクロ波を浴び、全体的に温かくなるという仕組み。電子レンジ内では、マイクロ波の影響を受けない場所もあり、アリがこの領域にいる限り生き延びるということになる。この回答者は「もしアリがパニックで走りまわったり、あなたが1000匹入れたりしたら、間違いなくトースト状態になります」と補足している。

また、日本でもポータルサイトgooのQ&Aコーナー「教えて!goo」で、「アリを電子レンジで加熱できずに生きているのはなぜか」という質問をした人がいる。こちらに寄せられた回答では、マイクロ波の死角だけでなく、仮に当たった場合でも「水分量の少ないアリの体は、温まるまでに少し時間がかかります」と指摘。どうやら、アリが電子レンジで生き残る場合があるのは、その大きさのほかに“運”の要素もあるようだ。

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