クイズ出題で酔っぱらいの問題行動防止? 英警察署の対策に一定の効果。

2009/06/08 10:22 Written by Narinari.com編集部

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英国では、酔っ払った状態で騒ぐと「社会秩序を乱した罪」として逮捕される場合がある。そうした罪で逮捕された人を対象に、英国のある警察署は「取り締まるだけでは問題の解決にならない」と、飲酒教育することにしたのだが、そのユニークな方法が注目を集めているようだ。

この教育方法を考えたのは、英サウスウェールズ警察署。「社会秩序を乱した罪」に問われると罰金80ポンド(約1万2600円)の支払いを命じられるほか、警察のデータベースに前科として記録され、就職時や海外旅行の際に影響が出ることも。しかし、ただ逮捕しても同じことを繰り返すだけと考えた同署は、捕まえた人に対し今後適正に飲酒するよう教育しようと考えたという。その方法は、勾留して酔いが覚めた人に、飲酒に関するクイズに答えてもらおうというものだ。

クイズは大きな画面に選択式で出題され、答える人は手元のボタンで回答。結果も大画面に表示される。英BBCは「さながら『クイズ$ミリオネア』を受けているよう」と伝えており、英紙デイリー・テレグラフでは“出題傾向”を掲載した。その1例を見てみると、

「政府は、1週間で男性がアルコールを摂取する最大『ユニット』はどのくらいを推奨しているか」
(A)10ユニット
(B)14ユニット
(C)17ユニット
(D)21ユニット

「ユニット」とは、英国の酒造メーカーが設立した業界団体The Portman Group(TPG)が奨励する表示単位で、1ユニットは10ミリリットルの純アルコールと定義。これを酒のボトルや缶に表示することにより、どんな酒を飲んでもアルコールの純粋な摂取量が分かる仕組みだ。例えば、アルコール度数5%の酒なら200ミリリットル、20%なら50ミリリットル飲むと1ユニット摂取という計算になる。例題の答えは(D)の21ユニットで、女性の場合は14ユニットだそうだ。

こうした試みについて、サウスウェールズ警察署の警部は「罰金は問題を早く解決できるかもしれないが、罪となった行動の変化を促すように考えさせることができるだろうか」とし、根本から解決させたいと述べている。このクイズは現在、同署が管轄する2地域で実施しており、賞金は出ないものの、クイズを受けると罰金は40ポンド(約6,300円)に減額されるほか、データベースに記録されず、前科もつかないという。

効果のほどは、同署で試験的に実施された際にクイズを受けた216人のうち3分の2がアルコール摂取量を減らし、全員が再犯していないとのこと。英紙サンは、この試みが「全英の警察署に広げられる」とも伝えている。クイズが英国内で問題を起こす酔っ払いを減らすことができるのか、注目したいところだ。

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