中国で話題の「ATMからニセ札」訴訟、自分の“うっかり”が悪かった?

2009/06/01 18:44 Written by Narinari.com編集部

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日本では滅多にお目にかかることのない偽札だが、中国では大量の偽札が流通しており、日常生活で見かけることもしばしば。また、「金融危機の影響から偽札の流通量が増大している」との識者の意見もあり、中国では今年、例年以上に偽札にまつわる事件が報道されている。そうした中、昨年話題となったある「偽札事件」の裁判が終結した。ATMから現金を引き出した際に偽札をつかまされた男性が、銀行を相手取って起こしていた裁判だ。

「亜心網」の報道によると、60歳の高遠が貯蓄銀行のATMから現金を引き出したのは、昨年12月のこと。2,300元(約32,000円)をATMから引き出し、貯蓄のために窓口に手続きへ行ったところ、係員から「500元の偽札(100元札5枚)が含まれている」と知らされる。高遠はとても驚いたが、係員はその場でその偽札を没収。「偽札を証拠として取り上げる」ことに同意する書類に署名をさせられるハメになった。しかしながら、高遠はATMから引き出したばかりのお金に「偽札が潜り込むはずはない」との疑問が晴れず、数日後には銀行を訴え、法廷で争うことになったのだ。

銀行が法廷に提出した証拠には、「100元札の偽札5枚」「偽札を証拠として取り上げることに高遠が署名した同意書」だけでなく、高遠が銀行を訪れたとされている日(12月9日)に高遠がお金を引き出していない証明書(銀行側はそれを証拠に、高遠の偽札はATMから引き出したものではないと主張)があった。どうしてそのような証明書が発行されたのか高遠には信じ難いことではあったが、高遠の抵抗空しく「12月9日に銀行ATMからお金を引き出した」という証明はできなくなってしまったのだ。

裁判所は「証拠が不十分」として高遠の訴えを破棄したが、高遠の気持ちは収まらなかった。中級人民法院に上訴し、再度審理を請求。しかしながら、審理を何度もかさねる内に高遠は自分の置かれている立場を理解し始める。最終的に自分の“うっかり”が招いたミスだと受け入れることにし、上訴を取り下げることにしたそうだ。

中国では、高額紙幣である100元札や50元札を受け取った場合、その場で確認するのが鉄則となっている。相手が個人であろうと店であろうと同じだ。中には「スターバックス」のように、偽札判別機をレジに導入している店もあるが、タクシーや小さな商店などでは客の目の前で偽札かどうかを確認するようにしている。そのため、現場を一度でも離れてしまうと「偽札をつかまされた方が悪い」となってしまうのだ。ちなみに、中国の一部の銀行には、偽札かどうかを判別するためのチェックポイントをまとめた注意書きが貼り出されている。

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