「中国No.1の美人ハッカー」は偽物だった、報道を見て本人もビックリ。

2009/05/21 21:04 Written by Narinari.com編集部

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2週間ほど前に中国のネットを賑わしたあるニュース。それは「中国で最も美しいハッカー」(中国語では「中国最美黒客」)と題された一人の“美人ハッカー”にまつわるニュースだった。ネットでは彼女の容姿やハッカーとしてのスキルを賞賛する書き込みが殺到。数日間に渡り盛り上がりを見せたが、実はその女性、中国本土の人ではなく台湾人で、しかもハッカーではないという事実が判明した。彼女の写真がネットに流出し、見ず知らずの人間が勝手に“架空の物語”を作り上げたというのが真相のようだ。

「中国で最も美しいハッカー」と題されたニュースがサイト上に出回り始めたのは、5月上旬のこと。きっかけとなったある媒体の記事では、“YingCracker”と名乗る美人ハッカーは上海の女子学生で、記者自身が「QQ」(中国で最も普及しているIMサービス)で彼女に連絡を取り、「QQ」のパスワードの暗号化アルゴリズム分析や「Office」パスワードの解析といった、さまざまなソフトウェアを無料提供していることを確認したと書かれている。また、“YingCracker”は貧しい家庭の出身で、ハッカー行為を行うことで「生活費を稼ごうとしている」とも。同じ名前を名乗る偽者がネット上で詐欺行為を働いているとの情報もあり、一種の社会現象として中国では注目を浴びた。

しかし、中国のIT系サイト「cnBeta.com」が19日に報じたところでは、この“YingCracker”は実は台湾高雄市の女性で、本当の名は陳師迪。彼女は現在フリーターで、国立政治大学法学部卒業後、司法試験の準備のために医大でアルバイトをしている“普通の女の子”とのことだ。彼女の写真がどういうわけかネット上に流出し、それが中国本土において何者かに勝手に使われたのだという。彼女は自分自身が台湾の新聞で取り上げられていることを知り、非常に驚いたそうだ。

今回は中国大陸の報道が台湾にも流れ、結果として彼女の“正体”が判明した。しかし、仮にこの事件が台湾で報道されていなかったら、彼女の分身は永遠に“美人ハッカー”として生きていくことになったのかもしれない。不思議で面白くて怖い話。当人からすれば大迷惑極まりないだろうが……。

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