マイクロソフトの中国海賊版対策「黒屏」、導入の思惑が外れた?

2009/05/13 22:50 Written by Narinari.com編集部

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昨年、中国の海賊版問題改善へマイクロソフトがとった対策「黒屏(ブラックスクリーン)」。ウィンドウズの海賊版から正規版への乗り換えを期待した上での措置であったが、この施策、結果的には中国ユーザーの目を国産オープンソース・ソフトウェアに向けさせる契機となったようだ。中国新聞社のニュースサイト「中国新聞網」が伝えている。

2008年10月21日午前零時以降、中国版ウィンドウズ自動更新プログラムに、ある特別なプログラムが導入されるようになった。海賊版のOSとOfficeがインストールされているパソコンで自動更新プログラムを行うと、1時間ごとに画面が“真っ黒”に塗りつぶされ、警告が発せられるというものだ。決してパソコンの操作ができなくなるわけではないが、当時のアンケート(『テンセンネット』)ではマイクロソフトの措置に77%が反対表明し、メディアや政府をも巻き込む大問題に発展した。

あれからすでに半年以上が過ぎたわけだが、「黒屏」はマイクロソフトの思惑であった海賊版問題改善以上に、国産ソフトウェアや国産オープンソース・ソフトウェアの発展に寄与しているようだ。「黒屏」の導入直前には、たった4日間で国産Office「WPS Office」のインストール数が50%以上増加したとされており、先の報道では、専門家が「中国産LinuxOSと、Linux向けOfficeがすでに100万ダウンロードを突破した」と語っている。

中国のソフトウェア開発企業Redflag2000の総経理・胡才勇氏は「『黒屏』は、外国企業のソフトウェアを使っている限り、その企業が簡単に私たちのシステムに入ることができることを意味する」と話し、情報の安全保障のためには、必ず自主的に訴えることができる国産ソフトウェアまたはオープンソース・ソフトウェアを使うことを勧めている。実際、「黒屏」は弁護士から“最大のハッカー行為”と弾劾された経緯があり、胡才勇氏の意見はそれを踏まえたものであるのかもしれない。

「黒屏」騒動時にマイクロソフト中国のある社員は「現在、中国国内の大部分のユーザーは私たちの顧客ではない」と嘆いていたとされるが、果たしてその状況がどれほど改善されたのか、ぜひ聞いてみたいものだ。

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