進む中国の「性の解放」、メディアも積極的に「性」関連の話題を報道。

2009/05/04 17:43 Written by Narinari.com編集部

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つい先日、地元紙「長沙晩報」に掲載された“他愛もない”ニュース。そこから垣間見られるのは、中国メディアが積極的に「性」に関する話題を報道し、また多くの国民もそれらの報道を望んでいるという現状だ。少なくとも、ネットに掲載される「性」に関するニュースのPV(ページビュー)は、ほかのニュースに比べて高い傾向にある。もちろん、「性」に関する話題は日本においてもPVを稼ぐ傾向にあるが、日本人が中国に対して持っている「性」に対する“お堅い”イメージは、もはや過去のものとなりつつあるのかもしれない。

「長沙晩報」が報道したのは次のような話題だ。舞台となったのは、湖南省にある中国国家重点大学のひとつ。大学卒業を間近に控えた学生たちが卒業を祝う宴を開いたときのことだ。ある学生が卒業記念として「紅包」(赤い袋。中国でお年玉やご祝儀に使われる包み)を教授と学生たちに配り始めた。受け取った学生たちは「1元硬貨だ!」「写真だ!」などと冗談交じりに言い合ったそうだが、実際に中から出てきたのはそういった予想をことごとく覆す品物――ブランド物のコンドームだった。

その場にいた教授は、最初はばつが悪そうな顔をしたものの、すぐに「これは本当に良い記念です。ぜひ皆さん、結婚するまで使わずにとっておいてください」と話したそうだ。それを聞いたある学生は「コンドームには使用期限があるから無理!」とすぐに受け答え、場は笑いで包まれたという。

これでは単なる笑い話に過ぎないが、このニュースでは「教授と学生たちが平然とコンドームを受け入れた」ことに焦点が当たっている。つまり、昔の中国では、いかに冗談と言えども、このような「性」に関する話題は受け入れ難いものであり、ともすれば大問題に発展する恐れがあったのだ。それが今や「笑いごとで済まされる」時代。「性」を抑圧されていた文化大革命世代には、信じられない時代が到来したものだ。

中国ではこうした「性」に関する些細な話題が、いまだにニュースなどを賑わす。つい先日も卒業式に出席した女子学生たちが太ももを露わにするチャイナドレス姿を披露したところ、ネットで賛否両論の議論が起きたばかり。地下鉄車内やサッカー会場に掲げられたコンドームの広告が、保守的な人々の怒りを買うこともあった。また、美術展に展示された西太后のヌード像が露骨過ぎるとして、腰布をかけられたというニュースも話題を呼んだ。

しかしながら、こうしたニュース報道を目にする機会が増えていること自体が中国で“性の解放”が確実に進んでいる証拠でもある。かつて細々と催されていたアダルト博覧会は今や全国各地で催されており、目玉イベントの下着ショーは入場制限をかけられるほどの盛況ぶりだ。もちろん来場者の大半は成人男性であるが、中にはカップルや親子連れの姿も見られる。

「塵も積もれば山となる」ではないが、こうした「性」に関する些細な話題がニュースとして取り上げられることで、中国人の「性」に対する免疫力は上がっている。それが果たして中国の未来にとって良い影響を及ぼすのかどうか現時点では不透明だが、生活の欧米化が進む中で“避けられない変化”とも言えるのかもしれない。

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