ディズニーランドの“泣ける話”を集めた「最後のパレード」に盗用疑惑。

2009/04/20 07:37 Written by Narinari.com編集部

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2月28日の発売後、TBS系の「王様のブランチ」やオリコンのニュースで取り上げられたことで人気に火が付いた東京ディズニーランドの“泣ける”逸話集「最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話」に、盗用疑惑が浮上した。収録されている33篇の“実話”とされるストーリーが、読売新聞に掲載された文章や、2ちゃんねるのスレッド「TDR最高の想い出」などに寄せられた書き込みに酷似しているとの指摘が相次いでいる。

読売新聞が4月20日付けの記事で指摘したのは、「最後のパレード」に収録された、脳梗塞を負った夫とともに車いすでディズニーランドを訪れた際に、ドナルドダックから感動をもらったというエピソード「大きな白い温かい手」。同紙はこれが2004年に行われた「小さな親切はがきキャンペーン」(社団法人 小さな親切運動本部)で入賞し、読売新聞にも掲載された投稿作品からの盗用と指摘している。さらにこの作品の作者は「地元の遊園地に出かけた時のことを書いた」(読売新聞より)としており、ディズニーランドの話ですらないという。

また、2ちゃんねるでも3月下旬頃から、スレッドの書き込みからの盗用が相次いで指摘されている。その中から、いくつか冒頭部を比較検証してみよう。

◇「天国のお子様ランチ」
[ストーリー]
娘を亡くした夫婦がディズニーランドのイーストサイド・カフェで、本来は8歳以下でなければ注文できないお子様ランチを注文。事情を話すと快く注文を受け、子ども用のイスまで用意してくれた。

「数年ぶりに主人とディズニーランドに遊びに行きました。この日は、1年前に亡くした娘の誕生日であり命日でした。娘はからだがとても弱くて、生まれて間もなくこの世を去ってしまったのです。主人とずいぶん長い間、深い悲しみにくれました」(「最後のパレード」より)

「今月、数年ぶりに主人とディズニーランドに遊びに行かせていただきました。実はこの日は、一年前に亡くなった私達の娘の誕生日、そして命日でした。身体がとても弱かったために、生まれて間もなくこの世を去ってしまい、主人と二人、ずいぶんと長い間、深い哀しみにおりました」(2ちゃんねるより。2002年6月25日投稿)


◇「乗せてあげたい」
[ストーリー]
ビッグサンダーマウンテンに乗ろうとしていた母娘。女の子は身長制限をクリアし、喜んでいたが、後ろから追いかけてきたキャストに止められてしまった。その理由は女の子の両腕がなかったから。事情説明をするキャストも一緒に涙を流していた。

「キャストさんが女の子の身長を測ると言うので、私たちは入り口で少し待たされました。そして女の子は難なく規定の身長をクリアし、喜びながら中に入っていきました。ところがしばらくすると、別のキャストさんがさっきの母子を追いかけてきました。」(「最後のパレード」より)

「キャストがその女の子の身長を測るっていうんで、自分達は列の入口で少し待たされた。女の子は規定身長クリア!親子は喜びながら列に入って行き、自分達も良かったね〜なんて思いながら列に並んだんだけど・・・しばらくして別のキャストが列の中まで親子を追いかけてきた」(2ちゃんねるより。2002年7月12日投稿)


◇「8時間の再会」
[ストーリー]
離婚した妻のもとで生活をしている小3の息子と久々に再会。8時間だけ時間を与えられ、互いに気を遣いながらも父子でディズニーランドを楽しんだ。別れ際に息子は「おとうさん、今度はシーだよ!」と絶叫。この日初めての「おとうさん」という言葉だった。

「約束の時間ぎりぎり、舞浜駅のホームから階段を下りると、雑踏の中に元妻と小さいリュックを背負った小3の息子がいました。半年ほど見ないうちに、ひと回り大きくなった。息子をじっと見ていると、元妻は『じゃあお願いね』とチケットとメモを寄こしてきました。」(「最後のパレード」より)

「バツイチの俺、約束の時間ぎりぎりに舞浜駅のホームから階段を下りると、雑踏の中に元妻とミニリュックを背負った小3の息子が待っていた。半年ほど見ない間に一回り大きくなっている息子をじっと見ていると、元妻が『じゃあ、お願いね』とパスポート(引換券)とメモ紙を渡してくれた。 」(2ちゃんねるより。2003年8月2日投稿)

こうした盗用が指摘されているエピソードは20篇以上にも及ぶ。いずれも冒頭部分だけでなく、全編に渡って言い回し、言葉のチョイス、話の構成が一致しているため、「完全にパクリ」「エピソード自体は感動できるのにパクリは残念」などの声が上がっている。2ちゃんねるのまとめ本ではないはずなのに、実質的にまとめ本のような体裁になっていることに、失望と怒りの声が広がっているようだ。

ちなみに、「最後のパレード」は著者の中村克氏が15年間のディズニーランドスーパーバイザー生活の中で知った「本当にあった心温まる話」という触れ込みだが、2ちゃんねるの書き込みはいずれも実話かどうかを確かめる術はなく、それを承知の上でも感動できるというのが一般的なスタンス。そうした点にも批判の声が上がっている。

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