太陽光で車の傷が「自然治癒」、米研究者が画期的なコーティングを開発。

2009/03/13 23:24 Written by Narinari.com編集部

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カーオーナーにとって、愛車の傷は悩みのタネ。自分がつけたものならば諦めもつくが、硬貨などで傷をつけられるいわゆる「10円パンチ」など、車を離れたスキにイタズラされた場合の精神的ショックは大きい。近年は車に近づく人物に対して警告音を鳴らすセンサーが発売されているが、こうした機器はそれ自体や取り付け工賃が高額で、対応に苦慮している人も多いのではないだろうか。

こうした中で、米国の研究者が太陽光を当てると自然に傷が消滅する画期的なポリマーコーティングを発明し、米科学誌サイエンスに発表した。紫外線に触れることで化学反応を起こし、1時間未満で「自然治癒」するという。

このコーティングを開発したのは、米南ミシシッピ大のマレク・アーバン博士らによる研究チーム。同大シェルビー・F・テムズ科学研究センターでポリマーや高性能素材について研究しているアーバン博士らは、エビやカニなど甲殻類の殻に含まれている成分「キトサン」に着目した。

キトサンは、神経や皮膚などの再生素材として医療分野でも応用が進んでいる物質。これに「オキセタン」という物質を混ぜて紫外線に当てると互いを引きつけて接着し、自ら傷を修復するという。

研究チームは「1時間未満で修復できた」と発表しているが、英紙デイリー・メールは「15〜30分でショールームを出たときの状態に戻った」と報じている。温度や湿度などの気候は修復に影響しないが、紫外線の強さによって修復にかかる時間が変化するようだ。ただし、「自然治癒」するのは一度きり。また、カミソリでつけた以上の幅の傷については検証していないとのこと。

アーバン博士によると、これまでに開発された同様の製品はいずれも複雑で高価だったが、今回のコーティングははるかに単純で安価だという。同博士は、車の塗装だけでなく家具や電気製品、ファッション、医学などあらゆる分野で活用されることを期待している。

研究チームはすでに商品化に向けて動き出しており、専門家は5年以内に商品化できると予想。車をはじめ製品に傷がつくことを何よりも嫌う日本人にとっても、最高の素材となりそうだ。

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