ダイワスカーレットが浅屈腱炎で引退、最初の交配馬はフランスG1馬。

2009/02/17 06:10 Written by Narinari.com編集部

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3歳時はクラシックの桜花賞と秋華賞、そしてエリザベス女王杯も勝って「変則3冠」を達成、さらに昨年の有馬記念では牝馬ながら圧倒的な強さで勝つなど、G1を4勝したダイワスカーレット。5歳となった今年は、2月22日に開催されるフェブラリーステークスから始動し、3月のドバイワールドカップを目標に調教されていた。しかし、12日朝に故障が判明、フェブラリーステークスの回避を発表して様子が見られていたが、16日、ついに日本中央競馬会(JRA)から正式に引退が発表された。

ダイワスカーレットは、3歳クラシックの皐月賞まで無傷で4連勝した父アグネスタキオンと、重賞4勝した母スカーレットブーケとの間に生まれた良血馬。兄姉も活躍していることもあり、デビュー当初から注目を浴びていた。しかし、2007年のオークスは熱を出して回避。昨年もドバイ遠征を計画するも目の外傷で取りやめたほか、脚のケガで秋まで休養と、常にケガの問題はつきまとっていた。

今回、ダイワスカーレットが負ったのは浅屈腱炎。脚の腱繊維が断裂し、発熱などを伴う故障だ。治療には数か月から数年と長い期間を要し、完治の見込みや能力維持の難しさから、これまでに多くの馬が発症とともに引退へと追い込まれている。

JRA通算12戦8勝、2着4回のパーフェクト連対の記録を残したダイワスカーレット。3歳時の活躍も目覚ましいが、この馬が“最強牝馬”として注目を浴びたのは、優勝馬ウオッカと2センチ差の死闘を繰り広げた昨年の天皇賞秋と、終始後続を寄せ付けず、牝馬としては37年ぶりの優勝を果たした最後のレース、有馬記念だ。

これにより照準を世界へと向けて、海外遠征の第一弾として3月28日のドバイワールドカップを目指していたが、残念ながら夢半ばでの引退となった。なお、ライバルのウオッカはドバイワールドカップと同日に行われる芝1777メートルのG1ドバイデューティフリーに挑む。

1998年に、当時日本で強さを誇っていた短距離馬シーキングザパールが、日本で調教された馬として初めて海外G1レースを勝って以来、多くの馬が海外レースへ挑戦している。香港、ドバイ、米国、オーストラリアと、海外のタイトルを取るニュースが少しずつ報じれるようになったが、“最高峰”と呼ばれる、芝のフランス凱旋門賞とダートのドバイワールドカップを勝った日本の馬はいない。

ダイワスカーレットはドバイワールドカップに登録している馬の中で、英ブックメーカーから2番人気に推され、同大会の日本馬初優勝も期待されていただけに、今回の引退は関係者の落胆も大きいだろう。

今後は繁殖牝馬となるため、その子どもたちへと目が向けられる。最初の交配相手は、今年から日本で種牡馬となるフランス馬チチカステナンゴに決定した。チチカステナンゴは現役時代にフランスG1を2レース制した名馬で、昨年のフランス・ダービー馬ヴィジョンデタの父でもある。

ダイワスカーレットは父の父がサンデーサイレンス、母の父にもノーザンテーストと、多くの馬に共通する大種牡馬の血統。そのため、極度の近親交配を避ける意味でも最近人気の種牡馬たちと交配することが難しいが、今後の交配馬と、生まれてくる子どもたちに注目したい。

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