「クリーンな英雄」A・ロドリゲスに薬物疑惑浮上、米ファンは賛否両論。

2009/02/09 20:27 Written by コジマ

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野球で求められるすべての才能に秀で、100年以上の歴史を誇る米大リーグで「史上最高の選手」との呼び声も高いヤンキースの「Aロッド」ことアレックス・ロドリゲス内野手。これまで数々の記録を樹立しているが、その中でも注目されているのが本塁打だ。2005年に史上初の20代で通算400号、07年には史上最年少で通算500号を達成し、昨季終了時点で歴代12位の通算553本塁打を記録している。

大リーグの本塁打歴代1位は、バリー・ボンズ外野手(元ジャイアンツ)が07年に記録した762本だが、周知のとおりボンズ選手は薬物疑惑がかけられている。そのため「汚れた記録」とも呼ばれており、ハンク・アーロン氏の記録を更新した756号の記念ボールは、参考記録を示す「*」が付けられ野球殿堂に寄贈された。また、歴代6位のサミー・ソーサ外野手(元レンジャーズ)や歴代8位のマーク・マグワイア氏(01年引退)らも薬物疑惑がかけられていることからも、薬物とは無縁とされていたロドリゲス選手がこれらの「汚れた記録」を塗り替えることが期待されていた。

ところが、「クリーンな英雄」であるロドリゲス選手にも薬物疑惑が浮上したと、米スポーツ専門誌スポーツ・イラストレーテッド(SI)が報じた。これによって米国内で波紋が広がっており、各メディア電子版のコメント欄にはファンによる激しい議論が繰り広げられている。

SI誌によると、03年に大リーグが実施した薬物検査で104選手が禁止薬物に陽性反応を示し、これに当時レンジャーズに所属していたロドリゲス選手も含まれていたという。同誌は電子版のトップページでロドリゲス選手とボンズ選手と談笑する写真を掲載し、記事中には07年にロドリゲス選手がボンズ選手の薬物疑惑を擁護したコメントも大きく載せている。

これを受け、米スポーツ専門放送局ESPNの上級論説委員であるジェイソン・スターク氏は、薬物疑惑が数あるスポーツの中で野球の品位を貶めた最悪の事件としたうえで、「Aロッドだけはその“罪”を犯してこなかった。今回の報道が野球ファンに与える衝撃は計り知れないだろう」「事実か否かにかかわらず、Aロッドはもうダメージを受けてしまった。そして、それは元に戻ることはなさそうだ」と論じている。

大リーグでは04年から禁止薬物使用に対して罰則を適用しており、過去のさかのぼって裁くことはない。しかし、マドンナとの不倫疑惑に続くスキャンダル発覚で、ロドリゲス選手は窮地に立たされているのは間違いないだろう。

また、地元紙ニューヨーク・タイムズは女性読者からの電子メールを紹介。この女性はサインボールを1ダース持っているほどロドリゲス選手の大ファンで、2人の息子にとってもヒーローだったという。女性読者は、ロドリゲス選手が息子たちにしてくれたファンサービスを感謝し、「今回の報道は非常に悲しい。しかし、たぶん私たちはアレックスを許すことができ、アレックスもこの問題を乗り越えることができるでしょう」とつづっている。

これらの報道に対し、各メディアのコメント欄には「ミッチェル報告書が公表されたとき、彼の名前が浮上したことを思い出すよ」「このニュースが本当なら、これまで築いてきた彼の業績すべてに疑問符がつくね」「二度と野球のチケットを買わない」「シアトル時代から怪しいと思ってたんだよなあ」といった批判が寄せられている。

その一方で、「2003年の検査を2009年に語るべきではない」「陽性反応を示した104選手のうち、なぜAロッドだけに注目するんだ?」「グリフィーにも疑惑がかけられているけど、2人がそうでないことを願う」「彼は10代でメジャー入りし、重圧にさらされていた。そこにゆがみが生じたんじゃない?」などの声もあり、激しい議論が展開中だ。

今回の疑惑に対し、ESPNのスターク氏は「Aロッドが彼自身にしたことを悲しまないでほしい。悲しむべきは、彼がスポーツにしたことだ」と述べている。

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