「映画芸術」が映画「おくりびと」に物申す、2008年ワースト1に。

2009/01/16 21:42 Written by コジマ

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「崖の上のポニョ」や「花より男子ファイナル」のヒット、洋画の苦戦により興行成績で邦画がトップ2を占めた2008年の日本映画界。この中で、興行成績では30億円にとどまったものの、各映画賞を独占しつつあるのが滝田洋二郎監督の「おくりびと」だ。

遺体を棺におさめる仕事を始めた元チェロ奏者(本木雅弘)が、納棺師の仕事や死の尊厳に目覚めていく姿を描いた作品で、これまで報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、ヨコハマ映画祭などで作品賞を受賞。キネマ旬報ベスト・テンでも日本映画1位なるなど、07年度の各賞を総ナメにした「それでもボクはやってない」(周防正行監督)に勝るとも劣らない勢いとなっている。また、カナダのモントリオール世界映画祭でグランプリ、中国の金鶏百花映画祭で国際映画部門作品賞、監督賞、主演男優賞に輝くなど、海外からの評価も高いようだ。

こうして専門家から絶賛を浴びている「おくりびと」に対し、映画専門誌「映画芸術」がワースト1に選出した。一方、ベスト1には、これまで賞に無縁だった熊切和嘉監督の「ノン子36歳(家事手伝い)」が輝いている。

「映画芸術」は、戦前に創刊した歴史ある映画専門誌。派手さはないものの、濃い内容で業界関係者や映画ファンから支持されている。毎年発表している「日本映画ベストテン&ワーストテン」を楽しみにしてる人も少なくない。

今回の発表は公式サイトに掲載された速報のみで、「おくりびと」ワースト1選出の理由については言及していない。しかし、数々の賞に輝いている同作品に対し、老舗専門誌が物申す形となった。

ワーストテンではこのほか、「少林少女」(本広克行監督)が2位、「ザ・マジックアワー」(三谷幸喜監督)と「私は貝になりたい」(福澤克雄監督)が3位となっており、ブルーリボン賞で作品賞を受賞した「クライマーズ・ハイ」(原田眞人監督)は8位タイ。スポーツ報知蛇いちご賞でワースト作品賞に選ばれた「L change the WorLd」(中田秀夫監督)と「銀幕版 スシ王子! 〜ニューヨークへ行く〜 並」(堤幸彦監督)はランクインしていない。

一方、ベストテンでは1位の「ノン子36歳(家事手伝い)」に続いて、キネマ旬報ベスト・テン3位の「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」(若松孝二監督)が2位、「接吻」(万田邦敏監督)が3位、「トウキョウソナタ」(黒沢清監督)が4位となった。「実録・連合赤軍〜」と「トウキョウソナタ」は、ワーストテンでもそれぞれ10位、5位に選ばれている。また、山路ふみ子映画賞を受賞し、キネマ旬報ベスト・テンで2位に選出された「ぐるりのこと。」(橋口亮輔監督)は、ベスト、ワーストのいずれにも入らなかった。

各選評と10位以下の順位は、1月30日発売の同誌426号に掲載されるので、「おくりびと」をワースト1に選んだ理由などを知りたい人は、ぜひチェックを。ベストテン&ワーストテンのリストは公式サイト(//eigageijutsu.com/article/112695867.html)参照。

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