不況がもっとイヤになる? 経済が厳しくなると交通違反チケットが増加。

2009/01/07 17:15 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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「風が吹くと桶屋が儲かる」ということわざがありますが、これは一見なんの関連性もなさそうな事柄も、突き詰めていくと立派な繋がりがある……ということを説明しています。「風が吹くと、ほこりが立ってそれが目に入るため、それが原因で目の見えない人が増えてしまう。目の不自由な人な三味線を引いて生計を立てることが多く、三味線の需要が増える。三味線には猫の皮を使うため、猫が狩られてその結果町にねずみが増える。ねずみが増えると桶をかじってしまい、桶屋が繁盛する」という、昔の人の想像が働いたストーリーです。

さて、ここで新しいことわざというか、物事の関連性についての仮説を立ててみましょう。

「不況になると、交通違反チケットを切られるドライバーが増える」

米国では交通違反の取り締まりは、市や町ごとの警察が行い、集められた違反金はその地区の行政費用に当てられます。なので交通違反をくり返す人に対して、

「税金を余分に払って、より良い町づくりに貢献しているのね」

と暖かく声をかけるのが、アメリカ風のブラック・ジョークだったりもします。

しかし逆に考えると、地方自治体の資金繰りが厳しくなった時、故意に警察が交通違反に目を光らせ、違反チケットを発行する件数を増やす可能性はないのでしょうか?

この疑問を本当に調査し、証明してしまった研究者がいるのです。米連邦銀行(FRB)セントルイス支部の経済学者トマス・ギャレットさんは、以前自身が交通違反で捕まった時、

「僕が捕まったのは、本当に警察が交通安全のみを考えての結果なんだろうか? それとも、行政機関がお金を欲しいだけなんだろうか」

とちょっとひねくれた考えをしてしまったそう。そして、ノースカロライナ州にある地方自治体の過去14年間のデータを調べた結果、確かに経済的な不況を経験し、税金徴収が減った地区は翌年の違反チケットが増加している事実を掴んだのです。行政体の利益が1パーセント減ると、0.32パーセントの違反チケット増加が見られ、統計学的にみてもその関連性ははっきりしているといいます。

この結果、なんだか釈然としない気がしませんか?

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