日本の音楽専門各誌が選ぶ「2008年ベストアルバム」、真の1位は?

2009/01/04 17:26 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


2008年も各ミュージシャンがさまざまなアルバムを発表した。心に残った作品は人によって千差万別だが、1つの指標になるのが音楽専門誌による年間ベストアルバムだ。すでに発表されている英米各誌のランキングでは全体的に新人の作品が好評を博していたが、日本の専門誌は08年の作品にどのような評価を下したのか。定評のある「ロッキング・オン」「スヌーザー」「ミュージック・マガジン」のランキングを比較した。

その前に海外誌で1位を獲得した作品を見てみると、NME誌(英国)はMGMTの『オラキュラー・スペクタキュラー』、Q誌(英国)はキングス・オブ・レオン の『オンリー・バイ・ザ・ナイト』、ローリング・ストーン誌(米国)はTVオン・ザ・レディオの『ディア・サイエンス』、ビルボード誌(米国)はフリート・フォクセスの『Fleet Foxes』となっている。4誌のトップ10をNarinari.comが独自に集計した結果は以下のとおり。新人によるセルフタイトル作品が上位を占めた。

☆英米4誌合計のランキング トップ5
1位 TVオン・ザ・レディオ 『ディア・サイエンス』
2位 ヴァンパイア・ウィークエンド 『吸血鬼大集合!』
3位 フリート・フォクセス 『Fleet Foxes』
4位 サントゴールド 『SANTOGOLD』
5位 コールドプレイ 『美しき生命』

日本の音楽専門誌を見てみると、こちらも各誌で特色のある結果となった。まず、ロッキング・オン誌で1位に輝いたのは、オアシスの『ディグ・アウト・ユア・ソウル』。英米各誌のランキングではいずれもトップ10入りできなかった作品だが、同誌はモンスターバンドが示した「変革」を高く評価したようだ。トップ10は以下のとおり。

☆ロッキング・オン誌 2008年ベストアルバム
1位 オアシス 『ディグ・アウト・ユア・ソウル』
2位 コールドプレイ 『美しき生命』
3位 ベック 『モダン・ギルト』
4位 シガー・ロス 『残響』
5位 スリップノット 『オール・ホープ・イズ・ゴーン』
6位 ケイジャン・ダンス・パーティ 『カラフル・ライフ』
7位 ガンズ・アンド・ローゼズ 『チャイニーズ・デモクラシー』
8位 ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ 『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』
9位 フォール・アウト・ボーイ 『フォリ・ア・ドゥ〜FOB狂想曲』
10位 プライマル・スクリーム 『ビューティフル・フューチャー』

ちなみに、TVオン・ザ・レディオの『ディア・サイエンス』は38位、ヴァンパイア・ウィークエンドの『吸血鬼大集合!』は27位となっており、FLEET FOXESとサントゴールドのセルフタイトルアルバムはトップ50入りしていない。また、ベストシングル10曲ではコールドプレイの「美しき生命」、マドンナの「4ミニッツ」、MGMTの「キッズ」、ブラック・キッズの「ボーイフレンド」などが選ばれている。

一方、邦楽もランクインしているスヌーザー誌の年間ベストアルバムでは、メトロノミーの『ナイツ・アウト』が1位を獲得した。この作品はNME誌のランキングでも6位に選ばれており、スヌーザー誌は「今作を前にしては、近年稀に見るほど豊作であった今年の他の傑作でさえも、怠慢と切り捨てそうになる。それくらいぶっち切りの独創性を持った1枚だ」と絶賛を寄せている。同誌のトップ10は以下のとおり。

☆スヌーザー誌 2008年ベストアルバム
1位 メトロノミー 『ナイツ・アウト』
2位 ヴァンパイア・ウィークエンド 『吸血鬼大集合!』
3位 フレンドリー・ファイアーズ 『フレンドリー・ファイアーズ』
4位 ベック 『モダン・ギルト』
5位 ディアハンター 『マイクロキャッスル』
6位 ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ 『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』
7位 ハーキュリーズ・アンド・ラヴ・アフェア 『Hercules and Love Affair』
8位 ジーズ・ニュー・ピューリタンズ 『Beat Pyramid』
9位 ザ・キラーズ 『デイ&エイジ』
10位 レイト・オブ・ザ・ピア 『ファンタジー・ブラック・チャンネル』

ちなみに、邦楽のトップはZAZEN BOYSの『ZAZEN BOYS 4』(11位)。曽我部恵一BANDの『キラキラ』(19位)、SOUL FLOWER UNIONの『CANTE DIASPORA』(51位)などもランクインした。また、ベストシングルではザ・ストリーツの表題曲「エヴリシング・イズ・ボロウド」が1位に選ばれている。

ミュージック・マガジン誌はジャンル・国別に年間ベストアルバムを発表しており、ロック部門のアメリカ/カナダではベテラン・シンガー・ソングライターのランディ・ニューマンによる『Harps And Angels』、イギリスではザ・ラスト・シャドウ・パペッツの『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』、ヨーロッパではシガー・ロスの『残響』がそれぞれ1位を獲得。その他の部門の1位は、R&B/ソウル/ブルース部門がキース・スェットの『ジャスト・ミー』、ハウス/テクノ/ブレイクビーツ部門がAnimalsの『Minilogue』、ワールドミュージック部門がサミーラ・サイードの『我が人生の日々』、ラップ/ヒップホップ部門がリル・ウェインの『カーターIII』となった。

☆ミュージック・マガジン 2008年ベストアルバム(ロック部門)
【アメリカ/カナダ】
1位 ランディ・ニューマン 『Harps And Angels』
2位 ヴァンパイア・ウィークエンド 『吸血鬼大集合!』
3位 Rufus Wainwright 『Rufus Does Judy At Carnegie Hall』
4位 クレア&リーズンズ 『ザ・ムーヴィー』
5位 デヴィッド・バーン&ブライアン・イーノ『エヴリシング・ザット・ハプンズ・ウィル・ハプン・トゥデイ』
【イギリス】
1位 ザ・ラスト・シャドウ・パペッツ 『ジ・エイジ・オブ・ジ・アンダーステイトメント』
2位 ポール・ウェラー 『22ドリームス』
3位 コールドプレイ 『美しき生命』
4位 ザ・キュアー 『4:13ドリーム』
5位 グラスヴェガス 『グラスヴェガス』

また、日本のロック部門は鈴木慶一が曽我部恵一と組んだ『ヘイト船長とラヴ航海士』、歌謡曲/ポップス部門はシングルながらTOKIOが椎名林檎&東京事変と組んだ「雨傘/あきれるくらい 僕らは願おう」、ラップ/ヒップホップ部門はAnarchyの『Dream and Drama』がそれぞれ1位に輝いた。

☆ミュージック・マガジン 2008年ベストアルバム(日本)
【ロック】
1位 鈴木慶一 『ヘイト船長とラヴ航海士』
2位 ZAZEN BOYS 『ZAZEN BOYS 4』
3位 ボアダムス 『77 Boa Drum』
4位 原田郁子 『銀河』
5位 ミドリ 『あらためまして、はじめまして、ミドリです。』
【歌謡曲/ポップス】
1位 TOKIO 「雨傘/あきれるくらい 僕らは願おう」※シングル
2位 クレイジーケンバンド 『ZERO』
3位 Perfume 『GAME』
4位 小泉今日子 『Nice Middle』
5位 ジェロ 「海雪」※シングル
【ラップ/ヒップホップ】
1位 Anarchy 『Dream and Drama』
2位 B.I.G Joe 『Come Clean』
3位 BES from Swanky Swipe 『Rebuild』
4位 般若 『ドクタートーキョー』
5位 Mr.BEATS a.k.a. DJ Celory 『Beautiful Tomorrow』

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.