どの国にも、外から見ているだけでは今イチわかりにくいタブーが存在している。表層的に見える文化の違いではなく、さらにその一歩先、生活の中に溶け込み、その国の人たちには何の違和感もなく受け入れられ、守られているタブーの数々。長い歴史の中で独自の文化を育んできた日本だけに存在するタブーも、外国人にはなかなか理解できないことが多いようだ。

日本に関する話題の海外掲示板の反応などを紹介しているサイト「誤訳御免！」では、海外サイト「japan-guide.com」のフォーラムに投稿されたトピック「All Japanese Taboos!?」での反応をまとめている。その一例としてあげられているのが「なぜ日本では北枕はいけないの？」という疑問だ。

このトピックでは、「体を北向きにして寝たらいけないというのは、聞いたこと無いな。これは誰かに説明して欲しいところだ」「日本では、墓地に行く前に死体は火葬されるから！！！ しかし、火葬される前に遺体は彼らの家に安置される。その時に頭を北に向けて寝かせるのさ。少なくとも俺の知識ではそうなってる」「あれ？　でも日本では、火葬する前に墓地に遺体を寝かせるんじゃなかったっけ？　ちょっと聞いただけの話だけど」（いずれも「誤訳御免！」より）と、外国の人たちのやり取りを見ることができる。あやふやな知識の中でも、伝え聞いた情報を出し合い、さまざまな議論を繰り広げているようだ。

諸説はあるものの、一般的に日本で北枕がタブーとされているのは、遺体を安置する際に頭を北、足を南に向けて寝かせるから。ほかにもご飯に箸を突き立てる「仏箸」や、箸から箸へとものを渡す「合わせ箸」など、それを縁起が悪いと感じるかどうかは個々人によるが、こうした死者や葬儀を連想させる行為を多くの日本人は嫌う。そうした背景を知らずに、「北枕はダメ」「ご飯に箸を突き立てたらダメ」「箸から箸へとものを渡してはダメ」と言われても、その理由まで外国人の理解が及ばないのは仕方がないことだろう。

ほかにも「japan-guide.com」では、「夜爪を切る」「食べ物で遊んではいけない」「プレゼントの包装紙をその場でビリビリ破いてはいけない」「お見舞いに鉢植えを持って行ってはいけない」「夜口笛を吹く」などが話題に上っており、外国から見ると不思議な行為として語られている。「日本のタブー」であることを知らない人が多いようだ。

この手の「日本のタブー」は、ネットでしばしば議論されているトピック。日本人が無意識にタブーだと理解しているものが、外国からはどのように見えているのか。それを知るのは、ちょっとした発見があって面白い。