台湾プロ野球が存続の危機、八百長・経営難で来季4球団体制に。

2008/11/17 21:48 Written by コジマ

このエントリーをはてなブックマークに追加


西武の優勝で幕を閉じた今季のアジアシリーズ。これで2005年の初開催以来、日本勢が4連覇したことになるが、西武との決勝で激戦を繰り広げたのが台湾プロ野球の覇者、統一セブンイレブン・ライオンズだ。予選リーグでは韓国代表のSKワイバーンズを10-4で下し、決勝では九回の表まで0-0の手に汗握る投手戦を展開。惜しくも西武に敗れたものの、チーム史上初、台湾球団としては06年のラニュー・ベアーズ以来2チーム目の準優勝に輝いている。

その統一のアジアシリーズ準優勝で沸く台湾球界が、存続の危機にさらされている。八百長事件と経営不振から来季は4球団に減少するほか、ファン離れが進み入場者数は下落の一途。リーグ廃止を訴える声まで上がっているという。

台湾のプロ野球は89年に4球団が加盟する「中華職業棒球聯盟」を発足させ(リーグ戦開始は90年)、96年には7球団体制となった。しかし同年、「黒鷹事件」と呼ばれる大規模な野球賭博が発覚し、人気が低迷。球団の解散が相次いだ。この窮地を打開すべく、03年に「台湾職業棒球大聯盟」と合併し、新リーグ「中華職業棒球大聯盟」として再スタートしている。

ところが今年10月、米迪亜(メディア)ティー・レックスに球団ぐるみで野球賭博と八百長を行った疑いが浮上し、詐欺や賭博などの容疑で同球団の施建新・オーナーや選手、コーチ、職員など6人の身柄が拘束された。さらに、球団買収・運営が暴力団の資金で行われていたこと、野球賭博で利益を上げるために球団買収を行ったことなども発覚したことから、解散に追い込まれている。

また11月11日には、再スタート前から加盟している中信ホエールズの経営陣が解散を発表。「成績不振」が表面上の理由とされているが、実情は観客数減による経営不振が原因だという。

台湾球界全体の平均観客動員数は今季1921人で、最盛期の92年と比べて3分の1以下にとどまっている。他球団にとっても対岸の火事ではない。来季は統一やラニューのほか、兄弟エレファンツ、興農ブルズの4球団体制で開幕することになったが、もし1球団でも抜ければリーグ自体の解散が避けられない状態だ。さらに、米大リーグ、ニューヨーク・ヤンキースの王建民投手や阪神の林威助外野手ら海外で活躍する選手が注目を浴びているものの、人材流出という面から見ると諸手を挙げて喜べないという。

政府関係者からは、日本の人口と球団数の比率と比較して「人口2300万人の台湾では四つのチーム数で合理的だと言える」(朝日新聞より)と楽観視する声も上がっているが、危機的状況であることに変わりない。人気回復のため、台湾籍の王貞治氏(ソフトバンク最高顧問)にリーグ特別顧問就任を要請するとの意見も出ているようだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.