「神など存在しない」無神論者がロンドンのバス広告でキャンペーン。

2008/10/22 13:43 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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欧米では宗教に関してとても保守的なところがあり、日常会話でも、

「あなたの宗派はなに?」

と聞かれることがあります。欧米でこの手の会話の前提としてイメージされるのは多数派の「キリスト教」。教会で開かれる毎週日曜日のミサに出かけるなど、教会自体が一種の社交の場になっているほど、日常生活に宗教は溶け込んでいます。

そんな社会ですから、自分を「無神論者」だと公言したり、キリスト教の批判をしたりするのはリスクが高い行為。ヘンな奴だと思われたり、下手すると友人を失う可能性まであります。宗教の自由は約束されているのだから、無神論者でもかまわないハズなのですが、現実はそう簡単な話ではありません。

そうした中、英国ロンドンの公共バスにある団体が掲げた広告が、多くの人々を憤慨させそうだと物議を醸しています。

「There’s probably no God. Now stop worrying and enjoy your life.」(たぶん神なんて存在しないから、心配するのやめて人生を楽しもう)

なんて、真っ向から神を否定するスローガンでキャンペーンを展開しているのは、「英国ヒューマニズム教会」(BHA)という団体。動物行動学者で反宗教主義者として知られるリチャード・ドーキンス博士が中心となって、宗教が人々に与える「悪影響」を説いているグループです。

納税義務を免除されたり、(社会的に)批判を逃れる権利を持ったアンタッチャブルな存在である宗教は、不公平なほど便宜を図られている。そして、宗教の名において子供たちを洗脳している……と、BHAは以前から主張。そのためにキリスト教徒からの彼らに対する風当たりはかなり強いのです。

そこにきてさらに今回のキャンペーンですから、論議を巻き起こしているのは想像に難くありません。しかしながら、BHAに賛同する人々も少なくないそうで、寄付金が目標額よりもかなり上回って集まっているようです。

そして、キリスト教関係者からは軒並み批判を受けているものの、一部からは

「こうして論議されることで神のことが話題に上るのだから、彼のしていることは喜ばしいことです」

と、歓迎する声も聞こえているそうです。

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