ノーベル化学賞・下村脩氏の息子は世界的なハッカー、映画題材にも。

2008/10/09 14:11 Written by Narinari.com編集部

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「緑色蛍光タンパク質」をクラゲから発見・抽出した研究でノーベル化学賞を受賞した下村脩氏(ボストン大医学校名誉教授、米ウッズホール海洋生物学研究所元上席研究員)。その偉業と快挙に日本中が沸いているが、それにつられるように、下村脩氏の息子・下村務氏が注目を浴びている。一般的にはピンと来ない名前かもしれないが、実は下村務氏、世界的に名を知られる天才ハッカーなのだ。

下村務氏は1964年、愛知県生まれの科学者で、コンピュータセキュリティの専門家。米国を拠点に活動している下村務氏だが、その名を世界に知らしめたのは1995年、当時FBIが追跡していた「伝説のハッカー」逮捕に協力したことだった。

この「伝説のハッカー」の名はケビン・ミトニック氏。コンピュータセキュリティの分野をかじったことがある人なら、その名を知らぬ人はいないほどの有名人だ。1990年代前半、カリフォルニア大学サンディエゴのスーパーコンピューターセンターに「攻撃」を仕掛けたケビン・ミトニック氏は、同所の研究員だった下村務氏と激しい攻防を繰り広げる。下村務氏の2年にわたる追跡の結果、ケビン・ミトニック氏は不正侵入やデータ改ざんなどの罪でFBIに逮捕され、約5年間を刑務所で過ごすことになった。この一件により、下村務氏は「伝説のハッカーを逮捕に追いやった天才ハッカー」として、世界中に知られることになったわけだ。

「伝説のハッカーvs.天才ハッカー」の攻防の模様は、下村務氏の手によって書籍化(※ニューヨークタイムズ記者のジョン マーコフとの共著)され、日本でも「テイクダウン −若き天才日本人学者vs超大物ハッカー」とのタイトルで徳間書店から出版された。そしてこの本をもとに、1999年には映画「ザ・ハッカー」がハリウッドで製作されている。

ノーベル賞を受賞した父と、世界的な天才ハッカーの息子。専門とする分野は異なるが、この天才親子、今後しばらく話題を呼ぶことになりそうだ。

☆「ハッカー」の表記について
「ハッカー」はコンピュータへの攻撃や侵入をする犯罪的な用語と誤解されがちだが、本来はコンピュータ技術に精通した人のことを指す。その一部に犯罪行為に走る人がいることは事実だが、そうした人たちは「クラッカー」と呼ばれ、区別されることも多い。本稿では注記を添えることで、ケビン・ミトニック氏、下村務氏ともに「ハッカー」の表記に統一した。

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