高速道路料金5割引は国民1人1000円以上負担、事故率も増加か。

2008/09/23 23:56 Written by コジマ

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原油価格の高騰により家計は大打撃を受けているが、その被害が直撃しているのが自動車の利用頻度が高い人々。このところガソリン価格は下落を続けているものの、高騰前と比べるとまだまだ高いのが現状だ。

こうしたガソリン高による車利用の減少を打開するため、8月29日に策定された総合経済対策で高速道路の料金が最大で5割引になる制度が導入されることとなった。

この制度は2つあり、1つは一般車両(普通車以下)を対象とした休日昼間割引。観光振興を目的としており、大都市近郊以外の高速道路で土日祝日の午前9時〜午後5時の料金を現行の5割引にするというもので、走行距離は100キロ以内、1日2回までという制限がある。もう1つはおもに流通業者に向けた制度で、平日深夜0時〜午前4時の割引率を従来の4割引から5割引に拡大するというものだ。

この制度は多くの利用者から歓迎の声が上がっているが、割引が適用されるためにはETCの利用が前提となる。道路システム高度化推進機構が発表している資料によると、ETCの搭載者は74.1%にものぼっている。しかし、これまでの割引制度と同様に25.9%の人には適用されないため、不公平という指摘もあるようだ。この割引の財源はもちろん税金。「週刊プレイボーイ」によると、予算規模は今後1年間で1000億円、大人1人当たりの負担額は1000円以上になるという。

また、割引に距離制限があることから、100キロ以内でインターチェンジを出て、再び高速道路に乗り直すという方法を知っているか否かで支払う料金が大きく違ってくるのだとか。現行の割引制度にもこの距離制限があるため、いまも主要なインターチェンジなどからギリギリで100キロ以内の場所では、割引利用目的で出口に多くの車が集まる傾向にある。

これらの車は、もちろんこのインターチェンジで降りるわけではなく、もう一度高速道路に乗る。そのため、先を急ぐドライバーがパイロンの隙間を縫うなど危険なUターンを試みるケースが増加しているようだ。新たな割引制度の導入によって、この頻度が高まることが懸念されている。

また、割引が適用される時間帯に合わせるため、調整する車も増えているという。どこのサービスエリアやパーキングエリアでも満車状態で、やむなく路肩に停めた車が思わぬ事故を引き起こすケースも増えているのだとか。

さらにこの割引制度、零細業者は高速料金が安くなったことで運賃も安く下げるように圧力をかけられているようで、得するのは大規模な物流業者や大企業ばかりだという。年間1000億円の税金を投じて本当に景気対策へとつながるのか、疑わしいところだ。政治評論家の有馬晴海氏は「そもそも、ETCつきのクルマだけがトクするのは差別と同じ。還元はETCをつけていないクルマにもやるべきです。みんなもっと怒ったほうがいい」(週刊プレイボーイより)とコメントしている。

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